「中々美味いな。お前、ここで働いてるのか?」
「ええ実は!深夜から明け方までの勤務でして、ヘヘ」
「……」
ハイ、皆さんごきげんよう!この20分の間に何があったのかこのあたしが説明しよう!と思ったけど特に多くを語る必要はない。
「顔貸せ」と言われるがまま顔を貸したら案の定殴りかかってきたのでローが一蹴。やけくそ気味にあたしに向かってきたので渾身の一本背負い。以上である。
「悪いな。タダでラーメンご馳走になっちまって」
「強要したのローだけどね」
「いやいやお二人にはホント、歯が立ちませんで…ええ、負けたもんが勝者に従うのは自然の摂理ってもんでさ」
清々しく笑ってもヤーサン…アフロさんの顔面はボコボコだ。
「ふう、食った食った。ご馳走様」
「ごちそうさま!やっぱラーメンはここに限るよねぇ」
「そうっすか!そりゃあ俺のジジイのそのまたジジイの代からやってますからねぇ」
「え!じゃあアフロさん、ここのおっちゃんの息子さん?」
「気付かなかったのかお前」
「え。ロー気付いてたの?」
「目元と骨格がそっくりだ」
「いや分かんね!相変わらずの洞察力は尊敬するわ」
「まあな。…そろそろ帰るか」
「ん!腹いっぱいになったしね。じゃあねアフロさん」
「ご来店ありがとござっした!」
「またくるよ!ごちそうさまー!」
ガララピシャン
「ぶはー…寒!アフロさん結構イイ人だったね」
「そうだな」
「…ロー?」
ローは星がいくつか瞬き始めた空を見て、やがてこちらに静かな目を向けた。
ローのこんなに真剣な顔を、あたしは久しぶりに見た。だから、かな
「なまえ」
どきり、としてしまう
「撮り忘れた」
「は」
「お前に頼まれてた、渡る世間は鬼ばかりの再放送」
「!!!」
午後6時30分 ふっとんだ恋事情
(走れぇええええ!!!)
(おいもう諦めろ、30分オーバーだ)
(誰のせいだバカ!ハゲろ!もう!)
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