数学。それはゆとりの時間。
ノートの隅にするラクガキに飽きてきた頃。隣の席の『バカみたいにヤることしか頭にないロー』省略バカヤローから紙切れが回ってきた。
>ひまだ
「何コレ」
「お手紙だ」
「手紙じゃないじゃん。主張じゃん」
「早く返事書け」
「めんどい」
「早く返事書け」
「何で高校生にもなってお手紙交換…」
「早く返事書け」
「…チッ」
>あっそ
>お前はもっと俺に優しくなれ
>セクハラジジイにあげる優しさは無い
>セクハラ美青年の間違いだろ
>訂正そこだけか
>おい
>なに
>ユースタス屋の机の上見てみろ
促されて反対側を見ると、うとうとしかけのキッドの机の上にはかなり大きなクモが這っていた
>きも。教えてあげるか
>止めろ
>なんで
>気付いた時の顔が見物だろ
>キッドは別にクモとか平気だと思うけど
>いや分かんねえぞ。案外悲鳴上げて飛び上がるかもな
>ないな
>じゃあ見てろよ
ローは筆箱から消しゴムを取り出すとケシカスを作ってまるめ、キッドに投げつけた。浅い眠りから覚めたキッドは辺りを見回し首を傾げ、やがて自分の机の上に這うクモに気が付いた。
1秒
2秒
3秒
「ぎゃあああああ!」
ガタン!バァン、ガシャシャン!キッドの叫びに重なるローの爆笑。
午前11時25分、キッドはクモが苦手らしい
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