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エレンの叫びを聞いて駆けつけた俺は、その道中で俺の班が全滅したことを知った。仲間達の死体に見送られながら、恐らく巨人化したエレンのもとへと向かう。

心を無にしろ。
今は、あの女型を殺すことだけ考えればいい。
そう言い聞かせてアンカーを発射させた時、女型の周りを飛び回る二つの影に気が付いた。
「、!!」
その一つがナマエだと分かった時、安堵から、一瞬で全身が弛緩した気がした。
大声で名を呼ばわりそうになるのをぐっと堪え、最速でそこへ向かう。俺の存在があいつの集中を乱すのはいつものことだった。

「ナマエ」
「へいちょ、!」
「よく生きていた」

ぐっと、ナマエは唇を噛み締めて前を向いた。
見ると、ミカサが女型の巨人に向かって飛びかかっていくところだった。

「兵長、私は」
「後にしろ」
ナマエの言わんとしていることは分かっていた。
それを遮った俺は、ナマエに状況説明を求む。

「エレンは女型に敗れ、今、恐らく口の中にいます。目を凝らして見ていましたがまだ飲み込まれてはいません」
「分かった。お前は森を抜けてこの先の隊と合流しろ」
「え!そんな、」
「これは命令だ。行け」

それだけ告げて、ナマエの方を見ずに木から飛び降りた。
この時、後ろであいつがどんな顔で俺の背中を見つめていたか、勝手にあいつの命を優先した俺には到底分からなかった。


ナマエが兵団の拠点から姿を消したのは、壁外調査を終えたその日の晩の事であった。
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