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「ただいま帰りましたー!ああ私の右手っ!!会いたかったよ!」
「とっとと戻るぞ」

私に腕を返したキッドさんはあまり怒っているようには見えず、さっさと歩き始めてしまった。
攫われて50秒で戻ってきたのが良かったんだろう。

彼の後を追いながら、くっつけた右手に目を落として足を止める。「キッ……」言葉が、続かない。心臓が途端に飛び跳ねだした。赤い宝石の欠片が、私の視線を受けてきらりと輝く。

「……首輪代わりだ」


私の薬指には、見たこともない指輪が嵌められていた。

「あ、ああ、あ……あ……あひ」
「言語能力どうした」
「こ、ここここれ…………あひ」
「どうした」

いつの間に買ったんだろうとか、心臓はちきれそうなくらい嬉しいとか、色々言いたかったのに、私は喜びのあまりどんな言葉も発せなかった。


「ぐっ、テメェ」

その代わり全力で、キッドさんの背中を抱きしめた。伝われ。伝われこの気持ち。キッドさんへの愛が日々募って募ってたまらないのは全部、キッドさんのせいだっていうのに!!!

「……ああ、もう煩ぇ」

届いたらしい。
キッドさんはそう言って、後ろ手に回した手で私の頭をかき混ぜた。
五体満足にキッドさんを抱きしめられる喜びをひしひし感じながら、私はコート越しじゃない彼の背中に、ありったけの愛を押し込んだのだった。

( すき、すき、だいすき )

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