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「なまえ」
「ぴぇ、はい!」

注・キッドさんが私の名前を呼ぶのはかなり稀である。(大切なことなので各々三回復唱するように)

「食え」


「…………、」

私は泣いた。

これは夢だろうか、いやちがう(反語)。

なんでって、
キッドさんが、
わたしに、
「あーん」
してくれてる。
してくれている。

私は泣いた。

これは夢だろうか、いやちがう。

(以下無限ループ)


****

「キッドさんが、……キッドさんが私に、夢にまで見たあーん…(ブツブツ)」

「ユースタス屋、こいつのお前への幸せ基準が恐ろしく低く感じるが」
「平常通りだ。……テメェこそどういうつもりだ」
「あ?」

キッドの目が鋭くなる。

「こいつをほだして手懐けて、テメェの船の雑用にでもする気か」
「こんな使えなそうな奴要るか」
「………」
「安心しろユースタス屋、全部俺の暇潰しだ。こいつを浚う気はない」
「フン、」
「……だがまあ」

ローはわざとらしくそこで言葉を切った。


「こいつから浚ってくれってんなら話は別だがな」


喧嘩勃発。


「ハッ(正気に戻った)……えっ!?ちょ!これどういう状況ですか??店がめちゃくちゃ」
「「次行くぞ」」
「えええ!!?あーんは!?伊勢エビは!?えええー!!!」

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