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結局私は、ところどころに淡いピンク色のサテン布が織り込まれた白いワンピースと、つばの拾い同色の帽子を買ってもらった。帽子についている水色のリボンがかわいい。

「よし、変装はこんな感じで大丈夫ですね」

振り返ると、話を聞いていなかった二人が驚いたように目を丸めた。
「……え、ど、どうしたんです?」
「…お前が想像以上の出来で驚きが隠せねェ」
「!!」

トラファルガーがだいぶストレートに褒めてくれたおかげで、そういうのに慣れていない私は、もう、みるみるうちに赤くなった。
キッドさんを見る。

「キ……キッドさんも?」
「……」

キッドさんは無言で顔を逸らした。
サングラスのせいで顔は見えないが、あれは、絶対照れてる。だって耳があんなに赤い。

「照れるテメェは気味が悪ィ」
「あ?何の話だ。大体テメェなんでジャケットなんて着てんだよ暑苦しい野郎だぜ」
「お前もさっきまでコート着てただろうが。俺は入れ墨が目立つんだよ」

あ、戻った。
私はキッドさんに可愛いと思ってもらえただけでもう今日のテンションは保証された。
にこにこ笑いながら、ふとあることに気がついた。

「コートと言えば、着ていた服どうしましょうか」

足元にはお店の袋に入ったキッドさんのコート、私達の服、トラファルガーの帽子なんかがある。(それからついでに買った服数着。ナース服込み)

「私のクローゼットにいれてもいいんですけど、するとトラファルガーのやつが」
「そんなもん簡単じゃねェか」

ごそっと、荷物を掴んだキッドさんはそこら辺を歩いていた男の人のところに向かい、ガッと肩を掴んで呼び止めた。
声は聞こえないけど、とんでもない勢いで男の人が首を振っている。
キッドさんは彼に紙袋を託してこちらに戻ってきた。

「船に持ち帰っておいてくれるとよ」
「(ぜ、ぜったい脅迫だ!)じゃあ…トラファルガーのぶんだけ、あれ!?」

下を見ると彼の荷物もない。
「あの男が俺の船に届けておいてくれるそうだ。快く」

トラファルガーが親指で指差した先には、真っ青な顔で通りを横切って港の方へ向かっていく男の人の姿があった。

「わ、私がさっくりワープして置いてくればよかった…」
「馬鹿かテメェ。俺とこいつの二人だけ置き去りにしてみろ」
キッドさんが言う。
「ああ。殺し合い以外にすることがなくなるな、ユースタス屋」

た、たしかに…!

「準備は充分だろ。そろそろ行くぞ」
「あ?テメェ行きたい場所はなかったんじゃねェのか」
「シャボンディパークだ」
「え!!!」
「冗談だろ」
「行きたい!!!」
「……あ?」

「行きたい、です…!!」

私は生まれてこの方、遊園地なるものに行ったことがなかった。目を輝かせる私を見てトラファルガーは満足そうに口角を上げた。

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