22


「トラファルガー昨日はありがとう!」
「トラファルガーテメェぶち殺す!!」

見事に第一声に食い違いを見せるなまえとキッド。キッドはなまえの後頭部を即座にひっぱたいた。

ローが待ち合わせ場所に指定したのは、無法地帯と言われているグローブ郡の一つ。
トラファルガーは数人のクルーを。私とキッドさんの傍にはキラーさんが。はたから見れば何か取引が行われるのではと疑わしい光景だ。それが証拠に、このあたりの無法者たちは怖々とした様子でこちらには近付いてこない。


「トラファルガー、とっととこいつの腕を返せ」
「それは俺がこいつを解放してからの話だ」
「なら、テメェをぶっ倒して今ここで奪う」
「奪っても良いが、それをくっつけられんのは俺だけだ」

キッドさんが悔しそうに口を閉ざす。
トラファルガーの後ろで、ふざけた奴のクルー達がかかげた白旗をびっとこちらに倒した。ちくしょう、バカにしやがって。

「やいやいトラファルガー!!あんたがどんだけ私のこと好きか知らないけどね、私のハートはもうキッドさんのものなんだからね!!」

びっ。こちらに倒される白旗。どういう意味だ。

「俺がいつお前に惚れたと言った」
「はあ!?昨日あんだけ私の手のひらを舐めまわしてたくせに!!」
「何の話だ。俺は昨日お前の手なんかにはひとつも触ってない」
「ハッハァ、うそつけ!…………うそだよね?」
「本当だ。お前の手は一日中甲板に晒し者になってた」
「………」
「ヘエ、舐められたのか。うちのクルーかは分からんが、それは気の毒だったな。舐めて吸われて握らされて可哀想に」
「にぎっ!?え、ちょ、に、……握ったって何……嘘だよね!私そんなの知らない、え、まさか寝てるときに……?」

不敵に笑むトラファルガー。
私はその場にくずおれてキッドさんに懺悔した。

「あああああごめんなさいキッドさんんんんん、なまえの純潔は昨晩どこかの外科医に奪われましたぁぁあぶっ」
「煩ェ。黙ってろ変態」
「なまえ。お前はアイツに遊ばれてるだけだ」

キッドさんのげんこつで地面に沈む。
ピー、という笛の音と共に白旗が三度こちらに降り下ろされた。スリーアウトチェンジ。キッドさん、あいつ手強いです。

top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -