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「あひゃ、あひゃひゃひゃひゃ!!!」
「……」

突然笑い出した私を、体を離して心底怪訝そうに見下ろすキッドさん。

「や、やめてやめて!!あひゃはへはくすぐ、っくすぐったい!!!」
「どうした、オイ」
「てっ、手をくすぐられて……!!あははは!もうやめてーーーっ」

てのひらってこんなくすぐったかったっけ!?何これ!?誰か助けて!!?
数分にも及ぶくすぐり地獄に踊らされた私は、どうやら終わったらしいと思う頃には息も絶え絶え。すっかり疲れ果ててベッドに沈んでいた。

「はあ、はぁ、っし、死ぬかと思った」

キッドさんは私の隣に寝転び、呆れたような目で私を見ていた。
すっかり「その気」を削がれた故の不機嫌であることになど気付くはずもない私は、自分のベッドにキッドさんが寝てるという現状にただただ悶えていた。

もうほんと、今はトラファルガーに感謝の気持ちしかない。ありがとう。本当にありがとう。

「明日、今日の分の仕返しは必ずしてやる」
「え、だめです。どうせ舐めるなら私の手にしてください!」
「だれがあいつの手舐めるっつったんだよ殺すぞ」
「えへへ、激しかった」
「……おい」

ガチャ

「なまえー、今日の船番俺と交換し、てくれなくて全然オッケー失礼しましたぁぁあ!!、」

ヒートさんがキャッチアンドリリース。
うん、お約束だ。
ちらりとキッドさんを見ると、疲れたように目元を押さえていて、もう訂正するのも面倒だと言うように枕に頭を乗せた。

「寝る。飯時に起こせ」
「っ〜〜はい!」

腕枕しましょうか!と鼻息荒く尋ねたら殴られた。解せん。幸せ。





ーーーーーーー

あのくすぐりでどうやら奴の邪魔は出来たらしい。今頃俺を呪い殺さんばかりに煮え立っているであろうユースタス屋の顔を想像するとかなり笑えた。

テーブルの上にある小さな右手は時たまピクリと動くだけで、今はあまり動かない。寝てでもいるのだろう。

「詐欺師、か」

手首につけた紅い華と、小指の歯形を見て笑みを深める。相変わらず、人を飽きさせねぇ女だ。

「明日が楽しみだな」


(手首見てニヤニヤするキャプテンって)
(言うな)

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