18


その後、クマに襲来されたりトラファルガーと共闘したりと色々あったが、何とか自分達の船に辿り着くことができた。
疲れてくたくたになった体をベッドに横たえる。

「……キッドさん」
「何だよ」
「わ、びっくりした!!入るならノックしてくださいよぉ……」
「何で俺の部屋に入るのにノックがいるんだ間抜け」
「饒舌にかっちょいい」

キッドさんはもう最近私が部屋にいようが何も言って来なくなった。(ベッドの匂いをくんかくんかしていると流石に怒られるけど。)
私は起き上がって、椅子に腰かけるキッドさんの前に膝をつく。

「痛いですか、?」
「かすっただけだ」

先程の戦闘で、キッドさんは足に傷を負ってしまった。どうということもないと言うようにその傷をさするキッドさんの膝に、もたげた額を乗せた。

「痛いって、キッドさんがそういうなら、私が戻って消してきてあげるのに……」

キッドさんは絶対にそんなことは言わないんだ。
戦いでできた傷跡は命と勝利の証だから。

不意に、キッドさんの手のひらが私の頭を撫でた。キッドさんは何も言わない。私は胸がきゅんきゅんうずいて、それをぎゅっと噛み締めながら、そろりと顔を上げた。
今日のキッドさんは、優しい。
今ならお願いを聞いてくれるかもしれない。

「キ、キッドさん、あの…………、?」

私は立ち上がり、無いはずの右手をじっと見つめた。キッドさんはそんな私のことを不審げに見上げている。
何だろうこれ、感覚がある。
いや。感覚があるのはずっとなんだけど、手を触られてる感覚が…ーーーー!!!!

私はかっと顔を赤らめて、キッドさんの部屋を飛び出した。

「ト、ラファルガー……!!!」

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