17


キッドさんに言われた通り、キラーさん達と共にオークション会場を出る。
「わ、すご……」
「気の早いやつらだ」
会場の外は既に彼らがめちゃくちゃ暴れた後だったようだ。堂々とした三人の背中に目を奪われていると、キッドさんが不意にこちらを振り返った。瞬時にときめく私のハート。

「何ですかキッドさん!なまえはここですよ!!」
「おいそう叫んでやるな、キッドが不憫だ」
「呼んでねぇよって呟かれた!!」
「よく見えるな」

キッドさんの唇の動きが私に読めないはずないでしょうよ!とピノキオが如く鼻を伸ばしていると、ちょいちょいと服の裾を引っ張られた。
「な、なあお前」
振り返ると、こちらを心配そうに見上げるトナカイさんの姿。
「腕ないけど大丈夫か?いたくねーか?」
「きゃわゆ!!大丈夫だよ!これは某死の外科医に持ってかれちゃって……。っていうか、あなたきゃわいいね!!」
「きゃ、っきゃ、きゃわいいなんて言われても嬉しくねーぞ!このやろー!」

私だって女の子。かわいいものには目がないんだ!まあキッドさんにはもっと目がないんだけどね!ちょっと痛い目で見ないでよベポちゃん。

「ほんと……!何でそれで痛くないのか不思議だわ」とオレンジ色の髪の毛のお姉さんが溢し、隣の黒髪のお姉さんも同調する。
っていうか、ていうか
「す、すごいおむねですね」
「あら、ありがとう」
「あなたもとても可愛いわよ」

麦わらの一味すげえ

「お前も大変だな、変態女」
「ほんと、キャプテンに好かれちまったらもう殆ど詰みだぜ」
振り返ると、見覚えのあるマークの入ったつなぎを身に纏う一団の姿。ご存知、トラファルガーの一味である。

「……詰みって?」
「ああ、船長に目をつけられた女がオチなかったことは一度も無いってこと」
「まさかそれ恋的な意味でいってる?だとしたらマジ片腹痛いんですけど!」
「おいこいつ相変わらず腹立たしいぞ」

恋的な意味で私をオトせるのなんてこの世に一人しかいないに決まってるじゃない。

「私のキッドさんへの愛の深さっていったらもう余裕で魚人島三往復できるくらいのもんだからね!」
「なまえ落ち着け。誰もついてこれてない。………それにあまり敵と馴れ合うな。キッドにまたどやされるぞ」
「う、っでも首輪はつけられたいへぶっ」


飛んできたネジが額をと直撃し、また新しいたんこぶができたけど、私はそんなの気にしない。
落っこちたネジを拾ってポケットに詰め込みながら、私は自分の首根っこを掴まれるのをただただ享受するのであった。

(ねえ、あの子って俗に言うドMってやつなの?)
(いやあいつはただの変態だ)

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