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「キャプテン、凄く愉しそうだね」
「実際楽しいんだろ。あんだけ思い通りに事が運んだら」
「なまえつったっけか?かわいそーになぁ…キャプテンの暇潰しの餌食に」

「おいお前等、自分の船長を極悪人のように言うな」

ニヤリ、口角を持ち上げたローの笑みは見紛う事なく極悪人であったが、クルー達はそれをそっと胸の中に収めた。

「さァて……どう出るか。ユースタス屋」




**

「ローに奇襲をかけて鍵のカケラを奪うしかないと思うの」
頭にたんこぶをこさえた私は言い切った。
まさか本当に殴られるとは。魔術師バジル・ホーキンスめ、なかなかいい勘してやがる。
「ンなもんとっくに捨てられてるに決まってんだろうが」
「なっなん」
「俺の能力が使いたきゃ条件を呑め。あの野郎が言いてェのはそういうことだ」
「能力……てことはつまり私、ローに刀で手をちょんぎられるってことですかいやだぁぁあ」
「落ち着け」
キッドさんが今一度私の頭をスパンとやった時、隣のグローブからクルーの一人がこちらに向かって走ってきた。
「頭ー!コーティング職人見つけてきました」
「あ?…どいつだ」
「先に船に向かわせてます」

やばい。

「キッドさん」
思いの外不安そうな声が漏れ、情けなくなって俯いた。

「ごめんなさい…私、ローのところに行ってくる」
斬られるのは…嫌すぎるけど。
「手錠外してくれるように、お願いしてくる。キッドさん達は先に船に」
酷く不機嫌そうな舌打ちが耳に届く。

「俺が、お前一人行かせることを許すと思ってんのか」
「……だって迷惑に」
「煩ェな、かけたくなきゃ最初からそうしやがれ」
「キッド、コーティングはどうする」
「俺が戻るまで船で待たせろ」

ズカズカと歩き出してしまうキッドさん。
怒らせたどうしようと狼狽していれば、キラーさんに背中を押されて、私はふらふらとその後を追いかけた。

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