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ローがそう言い終わるや否や、私は力の入らない足を無理やり動かして奴の下から転がり出した。

走って、咄嗟に腕を広げてくれたキッドさんの胸に躓きながら飛び込む。

「………ーーーいやだぁぁ」
「分かってる、喚くな」

キッドさんは私をキラーさんに押し付けて、バキバキ指を鳴らして前に進み出た。

「何だ、交渉は決裂か」
「あァ……鍵はテメェを殺して奪う」
「随分と気分が良さそうだな、ユースタス屋」

刀を鞘から引き抜いたロー。
一触即発と言わんばかりに睨み合う二人を、周りにいるものは固唾を飲んで見守った。
だが、数秒後にはキン、と仕舞われた刀身。

「え、」
きょとんとする私の目には、キッドさんの引き攣った横顔が見えるばかりだ。

「テメェ…!!」
「え、……え?」
「なまえ、奴の足元を見てみろ」

事の重大さに気が付いたのはキラーさんにそう告げられてからだ。ローの足元には細切れにされた錠の鍵。そして


「ふぎゃー!!ひ、っひとがきれっ」
「ちょ!!キャプテン何すんですか!俺斬られるような事してませんよね!?」
「ふぎゃえええ!?き、斬られた人がしゃべっ…!!?」

胴体を真っ二つに割られたツナギの人がワーワー文句を喚いている。
ローは鍵の破片をひとつ拾い上げながら、その彼に向き直り「悪い。間違えた」と一言。

「間違えたってキャプテン!?俺今アンタの後ろにいましたよね!!」
「喚くなシャチ。もっと刻まれたいか」
「大変すいませんでした!!!」
「ーーー別に良いだろ? 俺の能力なら、“斬ってもまたくっつけられる”」

指先でピンと欠片を弾きつつ、ローは仲間を引き連れて歩き出した。

「あぁ、放ったらかして悪かった。交渉決裂ならする話もねぇ」

最後に、言葉を失う私達に挑発的な視線を投げて立ち去ったハートの一味。
キッドさんの怒号が響く頃には、彼らは不思議なサークルに覆われて消えてしまっていた。

(キラーさん。もしかして私ヤバイ?)
(……違いない)
(キッドさん、げきおこ?)
(……違いない)

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