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「なまえ、俺が出航前になんて言ったか……覚えてるな」
「結婚し、…あっ嘘ウソ!うそです!」
おでこに出来た二つのたんこぶがジンジン痛みを訴えるため、これ以上彼のご機嫌を損ねるのは止めようという結論に至った。


「次の島は治安の悪い場所だから、絶対に俺から離れるな。他のルーキー共との接触は徹底的に避けろ。厄介ごとを持ち込むんじゃねえぞ(はあと)……と」
「テメェ何一つ守ってねェだろうがァァ!!!!」
「ナチュラルにガチ切れだー!!」

私が土下座している横に立ってくつくつ笑っているトラファルガー・ロー。彼の側と私の側にはローのクルーが半戦闘態勢のまま既に20分近く固まっている。(緊張感を持っていいのか悪いのか分からないっぽい)


「キッド」
烈火の如く怒り散らすキッドさんの後ろから顔を出したキラー。
「今はそれよりなまえを助けてやった方がいい」
「あ?」
「……恐らく、アレは海楼石の錠だ」
キッドさんの目が鋭くなって私の腕に向いた。


「……なまえ」
「は、はい!」
「こっちに来い」
「はい!」

立ち上がって駆け出した私は、脇からすっと伸ばされた足に躓いて盛大に転んだ。再度ぶつける顎。
「ト、トラ、ファルガー…」
「誰が動いていいと言った」
「イヤ知ら、うごっ、」

在ろうことか奴は私の背中に片足を乗せて踏みつけてきやがった。
「いやあの私仮にも女の子なんですけど!!」
「だから何だ」
「え!!鬼畜!?いやだキッドさん!たすけ」

必死で顔を起こすと、わりとマジでキレかけているキッドさんが居てビックリした。この顔はあれだ。ちょっとマズイ奴だ。


「ーーーテメェ、何のつもりだ」
キッドさんの問いかけに、ローはくつくつ笑いながら答える。
「何のつもりもねぇが」
「……俺と殺し合いがしてェならそう言え」加虐的な笑みを貼り付けて続けるキッドさん。「その変態抜きでも、ちゃんと殺してやるよ」

うっかり溜め息が落ちそうなほど格好いいけど、今はそれどころじゃない。さっさとこいつの魔の手から逃れなければ。
「随分と大事にしてるな」
「あ?」
「ーーーユースタス、一つ取り引きをしようか」

私の背中から足を退けて、傍に屈み込んだローは、チャリ、と目の前に鍵をぶら下げて見せた。

「コイツの海楼石の錠だ」
「うそつけハゲこらぁ!!」
「黙れ馬鹿」
「……っ」
「こいつを襲った賞金稼ぎ共から拝借した。本物だ」
……キ、キッドさんの顔見れない怖い…

「ユースタス屋、明日一日俺にこいつを預けろ。ーーーそれがこの錠を渡す条件だ」

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