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ぽわん、ぽわん、と浮かんでは空に登っていく綺麗なシャボン玉。巨大なマングローブでできた島に、賑やかな街並み。遠くに見えるアレは観覧車だろうか。
「……っ、!」
「オイ…気を確かにしろ」
「はあ、はあ、あぶなかった…危うくもってかれるとこだった」


キッドさんや皆と一緒にぞろぞろコーティング職人のところへ向かう道中でさえ、もう目を惹かれすぎた。二、三回迷子になりかけた。
「誰かこいつ柱にくくっとけ!チョロチョロしやがって」
「嫌です!!手綱はキッドさんが握っててくれなきゃ」
「どういうプレイだ!」
「……お嫌い?」
ちょっと色っぽく言ってみたら、ウザいと一蹴された。あと本当に蹴られた。泣かない。とにかくシャボンディ諸島素敵すぎる。
「いっそ住みつきたい…」
「!」
「キッドさんと」
「(頭今一瞬ひやっとしてたな)」「(船降りられると思ったのかな)」「(なまえちゃん常に本気だから)」
「野郎共、覚悟はいいか」

何故か暴れ出したキッドさん。と逃げ回る皆、から引っ張り出してくれたキラーさん。

「どうしたんです?キッドさんたらハシャイじゃって」
「お前の発言が原因だ」
「わたし?シャボンディ・マジックではなく?」

キラーさんと話しながらも、視線は地面から生まれるシャボン玉に夢中だ。
それに気付かれたようで、彼は仮面の向こうでくすりと笑った。


「お前は昔から、海賊のようには見えないな」
「……それは、失敬な」
「怒らないでくれ。褒めてるつもりだ」くしゃりと髪を撫でられる。

「お前はそのままで居てくれたらいい。この先も」


その時は深く考えずに頷いたけど、…でもキラーさん。
「変わらなきゃ」
この海を生き抜くために、いつだって強さを求めてるキッドさんの隣に居たいなら、私もきっと変わらなくちゃいけない。
そうでなければ、置いていかれてしまう。
そうでなければ

「あれ……みんな………?」

こんなふうに。

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