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「う、」うめき声を洩らして目を覚ましたエドワードに、顔を涙でぐしゃぐしゃにしたサリーが抱き着いた。

「サ、サリ…」
「ごめんなさい!エドワード…私、どうしても逆らえなくて」
「……そうか。能力がとけたんだな」
「ごめんなさい、ごめんなさいっ」
「謝らなくていい、サリー、……ユースタスや詐欺師はどこに」

「海兵」

もう随分聞きなれた海賊の声。エドワードは身体を起こして声の出どころを探った。あたりは霧のような白い靄で満ちており、エドワードにはサリーの姿が辛うじて見えるだけであった。



「そこを動くんじゃ、ねェぞ」

ぽた、


ぽたた、


「!!!!」
勢いよく振り返れば、自分とサリーを覆うようにして腕を広げるキッドの姿。もう白さはとうに失われた軍のシャツには、キッドの血がぽたぽたと染みを作っていた。


「ユースタス!!!!」

どこからともなく不気味な笑い声が聞こえてくる。
紛れもない、ジェイダーのものである。



「俺はキリキリの実の霧人間。―――たかが超人系のお前が、本気で俺に敵うと思ったのか」
「ぐっあああ!!」

どこからともなく放たれた矢がキッドの肩に深く突き刺さる。キッドの腕にまとわりついていた金属がバラバラと地面に落ちた。


「ユースタス!!―――もう止めろ、ジェイダー!!もう……この勝負はお前に譲る!!」
「馬鹿な海兵だ。……最早そんなことはどうだっていい。分からんか、この海賊は俺を怒らせた。――俺の手で直々に始末をつけてやる」
「ハッ……なめるんじゃねぇぞ。根暗野郎」

キッドは自らの手で矢じりを引き抜き、片手でへし折ると、顔に凶悪な笑みを浮かべてみせた。

「てめぇはそうして俺から隠れているつもりだろうが、関係ねぇ」
「何だと」
「いくら霧が濃かろうが、目が潰れていようが、俺にはそんなの関係ねェんだよ」

海兵、てめぇらは「ソコ」を動くなよ。
キッドはもう一度念を押すように言い、霧の中で赤い眼光をぎらめかせた。

「全部、ブチ壊してやるぜ」

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