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「キッドさん!!」戦場に舞い戻った私の目に飛び込んできたのは、肩で息をするキッドさんと既に血まみれのジェイダーだった。穴から落下する私を、金属で固められた大きな手が支える。

「テメェは落下せずに出現できねえのか!!」
「拙者まだ修行中の身ゆえ」
「黙れ!――策無しで戻ってきやがったなら叩き出すぜ」
「ノープロブレム!です!」

私は笑みを深めてキッドさんに声をかけた。

「ハンナのところへ私をブン投げてください」
「あ゛あ!?」
「だからこのままあのクソ女んとこに私を………って、うひいいい!ここキッドさんの手の上ですやん!!」
「(はじまっちまった)」
「ちょ、ま、緊張してきた!正座した方がいいですか!そ、それより私!転がされたい!可能ならばキッドさんの掌でもうローリングスターばりに渾身の転がりをほうあっ」

投げられました。





「男性にそんな無駄に愛を吐き散らすなんて、恥ずかしい子ね」
「何ですって!」
「何する気か分からないけど、受けて立つわ」

ハンナは私に向き直り、戦闘態勢に入った。小指を立ててそこにゆっくり唇を寄せている。

「マヒマヒの、」
「トビトビの超短距離移動(ショートワープ)!」
「!!」

ハンナの目には、一瞬で私の姿は消え、そしてまたすぐに表れたように思うだろう。今度はいきなり自分の背後から。―――キッドさんに投げられたままのスピードで!!

「トビトビのアイアンマン!!」
「ただの体当たりだろうが!」キッドさん、こんな時まで的確なツッコミありがとう。

がはっと前のめりに倒れたハンナの服を掴み、キッドさんに親指を立ててみせた。
ハンナごと、スペースワープで彼らの視界から姿を消す。




これで映像転送伝電虫も目を覚ますだろう。
そして、彼女も。

「……うっ」

ハンナの能力の弱点は、思った通り「距離」だった。私達対象物との距離、ではない。ハンナとジェイダーの距離である。
顔を歪めるハンナは、憎々しげに私を見上げた。

「ここは迷路のスタート地点。ハンナ、あなたのパートナーと一番遠い場所だよ」

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