◆49◇
自らの能力で自分の思考を麻痺させジェイダーに忠実な人形になっていたハンナ。彼女とジェイダーの距離を離す事によって、その能力は完璧に解除され、彼女は自由の身となる。―――ハズだった。
「貴女は本当に馬鹿な子ね」
「……ぅ、あう」
「私達が負ける筈なんてないじゃない」
「げほ、…っど」
どうして。
分からない…。
「私が私にかけた能力は、確かにあなたの言った通りとけたわ」
「じゃ、あ…」
「でもそれは私達の勝利には何一つ関係のないもの。解けたところでどうってことない」
「………ぐっ」
だめだ視界が定まらない。
目を閉じれば均衡感覚が崩れ、私は地面に倒れ込んだ。多分。あれ、痛覚も触覚も麻痺してるのかな。何も感じないや。
だんだんハンナの声も遠ざかっていく。
(くそ……くそ!)
せっかくキッドさんの力になれると思ったのに。
私も戦えると、思ったのに。
「 、」
私はもう感覚も何もない中で、無理やり腕を動かしてハンナの足を掴んだ。
「とびとび、の……」
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