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「妙だと思わねェか」

「妙ですねぇ……ホゲェ!!」
「テメェどこ見てんだ!」
「痛い……キ、キッドさんの腹筋ですが」
「俺の腹筋のどこが妙だ!」
「たかが腹筋から溢るる色気のなんたることか」
「見んな。」
「死ねと!?」
「死ね。」
「(萌えっ)」


キッドさんの冷ややかな視線を全身に受けてゾクゾクしながらも、再び推察を口にし出した彼の言葉に耳を傾ける。(はぁん。腕力で全てを解決しそうなタイプなのに意外と頭が回るキッドさん惚れるマジいけめん。)


「この競技はそもそも悪魔の実の使用は禁止。だが、あの女はそれを易々と、しかも堂々と破ってやがった」
「はい!キッド船長!それについてなまえは1つ考察がございます」
「聞いてやる」
「きゅん。」
「…」
「えー、彼女、ハンナでしたっけ?あのクソアマ、じゃなくてあの女性の能力は、確かマヒマヒの実。麻痺人間。この迷路の至る所にいる映像転送子伝電虫にも、その能力は有効なんじゃないでしょうか!」

客席から見ても目立って分かる能力じゃないのが決定的だ。

キッドさんは頷くが、しかしまるで納得のいってない顔をしている。


「その線は当然ある。だが、考えてもみろ。
奴らが毎年その能力を使っていたとして…確か、コンテストの内容は例年同じだっつってたな」
「はい」
「卑怯な手段で蹴り落とされた他のエントリー者達が、コンテスト後に黙ってるとはとても思えねェ」
「あ、…確かに!」
「つまり、あの野郎は内部と直接関わりがある。もみ消してやがる可能性がある」
「―――キッドさん、そうなると、」


キッドさんの表情が凶悪に笑んだ。



「奴はとうに、俺達の現在地を把握してやがるはずだ。」












「ご明察。出来の悪さを欠いた海賊の、面倒な事はこの上ない」


どこからともなく静かに響いた声。
数秒後、行き止まりだったはずの目の前の壁が、轟音と共に崩れ落ちた。私とキッドさんは後ろに飛び退いたが、飛び込んできた光景に思わず目を見開いた。

「エドワード…!!?」


壁が崩れたのは、あちら側からエドワードが激しく打ちつけられた所為であった。血まみれで瓦礫の下敷きになった彼の向こうには、涙を流しながら棒立ちになる恋人、サリー。


「ジェイダー・クラウン…!!!エドワード達に何したの!?」

二人のさらに奥には、まるで玉座に腰かけるように、瓦礫の山に腰かけたジェイダーの姿。そしてその脇にはあの、白い女、ハンナの姿もある。
ジェイダーは重たそうに腰を上げ、仄暗い目で私達を見据えた。

「待ってたぞ。ユースタス・キャプテン・キッド。――さあ、晩餐を始めようか」

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