◆40◇
「…あれ!あの女の人は…?」
「とっくに逃げた」
「え」
「俺の身体が自由効くようになったんだ。いつまでも残ってる程のバカじゃねェらしい」
「…そ、ですか。」
「………オイ。」
「はい」
「いつまでも泣いてんな…。」
俯く私を、覗き込むようにして見つめるキッドさん。私はくしゃくしゃの顔を懸命に服で拭った。
「だって、とまらないんですもん…!!」
「…お、怒ってんのかよ」
「ちょっとね!!でも、その倍くらい嬉しくて安心して、どうしようもなく…っ、」
そう、どうしようもないくらい
「やっぱり、キッドさんが好きみたいなんです……!」
それが、今の出来事でより深く思い知らされてしまった。自分の大き過ぎる気持ちが、壊れてしまった時の苦しみにほんの少し触れた。拒絶の恐怖を知ってしまった!もう、あんな思いはいやだ…
「だいすきです。」
「なまえ」
「だから、お願いだから、
わたしのことも大好きになって…くださいね…!それで、きっと…ずっと」
ずっと隣にいさせて。ね、
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