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「うっおおおおおおおおお!!!!!」
「グフっ!!」


女の人に跨っていたキッドさんを、助走をつけたタックルで突き飛ばす。その際に、俺かよ!!という痛烈なツッコミをいただいた気がしたけど、正直それどころではない。

体勢を立て直し、腰に差していたナイフを抜き取る。


「キッドさんに、何したの」

白い女の人は立ち上がると、舌で唇を舐めながら不敵に笑んだ。
「ふふ…。あなた見てなかったの?」
「!」
「私が、彼に襲われてたんじゃない。ほら…」
女の人は自分の白い髪を後ろに払って、首筋を指差した。



「これは彼のルージュだと思うわよ」

「…殺す。」

勢いづいて地を蹴った私のお腹に、腕が回る。くんっと引き戻されて、背中に暖かいのを感じた時、私は思わず泣きそうになった。


「………よくも好き勝手やってくれたな、テメェ…」
「…あら、やだ。もう効力切れちゃったの?あれって普通なら3日は体の自由が効かなくなるものなのに…」

よかった


「知るかよ。それよりもまず、テメェを殺す」

よかったぁ……!

「…っ」

キッドさんだ。


いつものキッドさん、だ。



そう頭が認識すると共に身体が動いた。振り返って、厚い胸板にぎゅっと顔を押し付ける。

「…ばか。」

キッドさんがほんの少したじろいたのが分かった。ナイフを私の手からするりと抜き取ると、反対の手で額の髪を分けて唇を寄せた。

「……悪ィ」

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