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どうしよう…

じゃねえ!!

≪なんということ…!海軍と海賊!この二人が対立する今!競技をほったらかしにして新たな戦いの火蓋が斬られようとして―――「アホか!!」
「なっ」
シャウトした私が画面に映った。
こうしている間にも、自分を攻略した他のエントリー者達はどんどん先へ進んでいく。

「今そんなことしてる場合じゃないでしょうが!てめー貴様あんたコラ!今どんな状況か分かってんの!?」
「な、そ…」
「私はさ!キッドさんに素敵でかあいくて惚れっちまいそうなシーン見せたいんだよ!!」
『……』
「つまりは、おま、一等賞だよ!」
「い…一等」
「イエッス!!!あなたもそうでしょ!?あの可愛い恋人さんにカッケーとこみせたいんでしょ!?だったらこんな事しとる場合ちゃうやんけ!あかんやんけぇ!」
「アンタ関西弁気持ち悪い」
「B子は黙っとけ!と、言うことだから、今は海軍海賊関係なく仲良くしようよ!」


エドワードはすごく険しい顔で地面を睨みつけていたが、やがて、しぶしぶと言ったように頷いた。
「……この大会が終わるまでだ。終わったら、必ず捕まえる!」
「それでいいのさ!……ってキッドさぁあぁん!!見た!?私エドワード君とちゃんと交渉成立したよー!!すごい!?えらいですか!?褒めてーっ」
『テメェ頼むから俺の立場を考えて喋……オイゴラ!何見てんだ…!ちっ、ちげェぞ俺はあの変態バカ女とは無関係だ!アァ!?やめろ!温かい目で見んじゃねえ微笑むんじゃねぇ!ぶっ殺すぞゴラ!』

キッドさん…
楽しそうで何よりだ。

「B子、私キッドさんが大好き!」
「…」
「B子も私のそっくりさんなら少しくらい分かるでしょ?私のこの熱く滾るパトス」
『言葉のチョイス!』
「…分かるわ」
『分かっちまったよ!』
「B子」
「…負けたわ。私、知識勝負で勝てなかったしね」
B子は自嘲気味た笑みを浮かべ私に背中を向けた。そしてエアデビルツリーに背を預け、あっと言う間に土気色に染まっていく。
彼女は木に戻る刹那、私に向けて中指を立ててきた。
――これは!!

「私の事、忘れないでね。きっと勝ちなさいよ…!!」
私もそっと、中指を立て返す。
――私は今日、ここに新たな友情が生まれた事をしかと感じ取った。

「うん…!!
 ありがとうっ…B子!」
「…ふふ。…さよなら」
B子はどんどん木と一体化していき、そして
「B、子、待っ……っB子ぉぉぉおおおお」
『……』

何だこれ。

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