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障害物競走に参加しているエントリー者をゴール兼観覧席で見守るのほ、そのほとんどが女で、そこに脱落してきた、泥だらけだったり(泥沼関門)真っ青だったり(G関門)する男たちが少々混ざっている形になっている。そんな中キッドはモニター画面を眺め、呟いた。

「…俺?」

勘弁してくれ。
嫌な予感しかしねェぞ。


その時、無線から耳に弾んだ調子の声が入った。
今モニターには別の参加者達が映されており、それぞれが同じ顔のニセの自分に奮闘していた。
なまえの姿は伺えねェが、作戦の説明でもする気か…?

『キッドさん!!』
「何だ」
『今日のパンツの柄なんですか!』
「確か黒の…ってひきちぎるぞ!!!!」
『ひきちぎるの!?あ、わかった。黒に豹柄ライン入りのお洒落トランクスですね。」
「何で知ってんだテメェ!!(悲鳴)」
『ちなみにさっきアレのボクサーバージョン見つけちゃったんですけど買っときます!?』
「このド変態野郎!!買っとけ!」
『アイサー!』

ぱっと移り変わった画面にはなまえと、同じ姿をした(奴曰く)B子がいた。
――見分け、つかなくならねェな。

嘲るように口元を上ずらせているB子を見て、やはり俺は違和感を感じる。いまだかつてあいつのこんな表情を見たことがないせいか、定かではないが、とりあえず似合わねえ。
「…」
一方のなまえは腰に手を当て、自信満々に顔を上げた。
二人の女の間に火花が散るのを、俺は確かに見た。

『ーーーキッドさんは、ワンピースを見つけて海賊王になる、世界最強の海賊です!!!』

(ああ、こいつ素性隠す事なんざサッパリ忘れてやがるな。)

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