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『脳たりんが!追いつかれちまったじゃねェか!』
「キッドさん、私じゃんけん嫌い」
『そりゃ20回連続で負けてりゃな!ってそうじゃねェ!さっさと別の方法で奴に勝ちやがれ』
「別のって……あ」

指をぱちんと鳴らした私。
B子は性懲りもなく鼻を鳴らす。嘲笑うのを止めない。ぱちもんのくせに!
――思い知らせてやろうじゃん!

「勝負しようよ」

にやりと口角を上げたなまえ。

「勝負?知ってると思うけど、悪魔の実の能力は使ったら即失格よ?」
「分かってる。知識勝負だよ!」
「ふふっ」
「…何笑ってんのさ」

「…教えてあげる。」


「私、何百年も前からこの島に立ってるのよ?今日までの間に蓄えてきた膨大な知識と、事前に知らされてるあんた達エントリー者の情報。そうね、ざっと…」

B子は両手を上にあげて高らかに言い放つ。

「この木に息吹く葉の数だけの情報量!

 アンタ、私に勝てるかしら」





なまえの前にいるB子だけでなく、参加者たちの前にはそれぞれ双子のように似通った人物が立っており、彼らもまたB子と同じような事を宣言していた。
どこからか「卑怯だ」と情けない呟きが聞こえる。
あの海兵の声だった。
「そんな相手に知識対決なんて、勝ち目がない」

「…」

ふーん

彼は凛々しいようで中々のヘタレだったらしい。
中身も外見も凛々しく逞しいキッドさんを見習ってほしいね。
私は大きく溜息を吐いた。


「情けない事言ってないでよ海兵さん!恋人さんに見られてもいいの!?」

ハッとしたように顔を上げ、こちらを見た彼に中指を立てる。

「無理だと思うなら別の方法で戦えばいいじゃん。男なんだから、殴り合いだって有りだと思うよ!」
「…だが、そんな野蛮な事は……海賊じゃあるまいし」
「あっきれたー!戦争に情け容赦なし!綺麗ごとだって畳まなきゃ、いつまでたっても勝てないよ!」
「……きみ」

「――私はやるぞ!!自分に一番自信のある方法で、ニセモンにだって勝ってみせる!!」


海兵に向けていた中指を、そのままB子に突き付ける。
この威嚇方法は、前に偶然会ったトラファルガーさんから教えていただいた。大変下品な部類の友好的挨拶なんだとか。

「どっちがキッドさんについて知ってるか…勝負だ!」

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