40


「肩書きが欲しいってことか」

キッドさんの言葉に私は首を振った。

「欲しいのは肩書きじゃなくて権利です」
「権利だと?」
「キッドさんに触れたり、やきもちやいたり、キッドさんからのラブを一身に受けたりできる権利が欲しいです」
「ハッ、バカかテメェは」

私の必死の糾弾を、キッドさんは鼻で笑い飛ばした。


「そんな権利そもそも存在しねェよ」
「え.....じゃあ、キッドさんは、欲しくないんですか」
「お前の権利か?これ以上馬鹿抜かしたら張り倒すぞ。」

キッドさんは言った。

「そんなもんはこの船に乗った時からとっくに俺のもんだ。今更分かりきったこと言ってんじゃねェぞ」

あっと、言う間もなく。
ぼとんと涙が落ちた。

「........あ、お....おなじじゃない」
「あ?」

「わたしと、キッドさんの気持ち、.....お、同じじゃなかった!」


私の顔を見てキッドさんが何か言おうとしたのは見えたが、私は泣きながら真っ赤になって、恥ずかしくて惨めでたまらなくなって、キッドさんの部屋から逃げ出した。

(.....求めすぎた!)

勘違いして、求めすぎた。
キッドさんが昨日くれた愛は、私が毎日押し付けていた愛と同じ味のする、けれど全く別のものだったのだ。

「恥ずかしい.....恥ずかしい恥ずかしい!」


ごめんなさいキッドさん。
欲張りはもう辞めますから。自粛して、いつものうに一方通行の変態少女に戻りますから、
だからさっきの発言は全部忘れて。

どうか、どうか降りろなんて言わないで.....。


「ごめんなさい、キッドさん...」

決意を内側から拒むように涙だけが止まらないのも、大丈夫、今だけですからね。

top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -