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※若干R指定



肩に担がれて運ばれた先は船長室。つまりキッドさんの部屋だ。さっき甲板で腰砕けキッスをされて、へろへろになった私はベッドに投げられた後もグルグル回る頭で必死に状況を理解しようとしていた。


「き、きき、キッドさん、んむ」

頭の横に両手を付かれ、ベッドとキッドさんに潰されるような圧迫感の中で舌が絡まる。両手に縫い付けられた腕はとてもじゃないが動かせそうにない。
苦しいのと気持ちいいのと、お酒くさい吐息とが混ざりあって余計にくらくらした。

「ふ、う……んん」

厚い舌に口内を蹂躙されているうちに、ムズムズと背中の方が疼いてきた。心臓は破裂してしまいそうなほどだったけど、心の中はあったかいものでいっぱい。なにこれ不思議だ。

キッドさんを抱きしめたくて腕を動かせば、不機嫌そうな目が私を睨み下ろした。唇が離れる。「今更止めねェって言ってんだろ」濡れた唇をひと舐めしながら告げられて、私は目の前に電流が迸るのを感じた。

「に、にげません……よう」

だってその理由がないもの。
キッドさんが離してくれた腕を、そのまま彼の首に回す。

( ちかい。)

身体のあちこちがキッドさんに触れている。
私と同じくらいの熱を感じる。

「キッドさん、お酒の勢いを借りていいますけど……」

首にすがりついたまま、熱い息を吐き出した。

「わたし、キッドさんの一番になりたいんです。キッドさんの心も体も全部欲しい……。一介の小娘が何言ってんだと思うかもしれませんが、でも、……本当なんです。本当に全部欲しいんです」
「……止せ。もう喋んな」
「や、なんで、やです。だってほんとに」

唇が一度、二度、食まれる。
喰らいつきたいのを堪えているというような、彼らしくない啄むようなそれに目を見開いた。
「お前、初めてなんだろうが。」
眉をひそめたキッドさんが、掴んだ私の手首に口付けながら掠れ声で言った。

「優しくされたきゃ、もうそれ以上喋んじゃねェ」


ひくんと一度喉を鳴らして、私の口はそれっきり、言葉を探すのを止めてしまった。


ざぶん、ざざ、……

シーツの波に沈んだ私達を乗せて穏やかな夜は静かに更けていった。

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