「あなた達の悪戯仲間の彼女は一体どこへいったのですか?ミスター・ポッター?」
「お言葉ですがマクゴナガル先生。彼女は僕らに行き先を告げていなくなったことなんて一度もありません」
「そこにいる不味そうなチキンに聞けば教えてくれるかもな」

シリウスの言う不味そうなチキンとはもちろんヒバードのことで、今は大人しく窓の淵に並んでいる。(授業妨害はしないルールらしい)

「でも本当に、どこいっちゃったんだろうね」
「知るかよ」
不機嫌そうに答えたシリウスは、ヒバードにつつかれすぎた所為で頬や腕に小さな傷をたくさん作っていた。
マクゴナガルはなまえの所在を知るのを諦めて授業に専念することにしたようだ。


「午後に入って一回も姿見せねえし、どういうつもりなんだ」
「あのアニメーガスもどきって香水も特注品らしくて、先生達もお手上げみたいだね」
「通販なんて嘘っぱちじゃねーか」
「とにかく、今はこの耳や尻尾をどうにかするより先になまえを見つけた方が良さそうだね」
ジェームズの言葉に頷く四人。
「待って」
そこに言葉を挟んだのは、なんとリリーだった。

「私も探すわ」
「リリー…!」
「なまえは確かに突拍子もないことが好きだけど、でも今回のはやり過ぎよ。だって」
「下手したら退学になる」
さらに声が重なる。
通路を挟んで反対側の席で、前を向いたまま告げたのはセブルスだった。

「スネイプ…」
「あいつは小心者だから、大王イカを釣り上げるようなことはあっても、それを大っぴらに自慢したりはしない」
「え、何?なまえ釣ったの?」
「こっそり釣ってこっそり戻して満足するようなやつだ。人を巻き込んで大騒ぎするなんて、普段なら考えられない」


わかるだろ、セブルスの無言の問いかけに頷いたのは、意外にもシリウスであった。

「退学する覚悟で、あいつは俺達に何か残そうとしてる」

(ふあ、ねむ……。)
(なまえ、どうかしたのかね?こんなところで)
(あ、先生ごきげんようー!
先生に会いに来たんです、…ここで全てを紐解くために)
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