リーマスを送り出した日の朝、私の部屋の窓の外に梟がいた。僅かな窓枠に羽毛に覆われた趾を休め、上品な灰色の羽を居心地悪そうにこすり合わせて私を見上げている。

「早く開けろってことか」

変だな、普通郵便は朝食の時なのに。
首をかしげながら梟を招き入れると、彼は窓枠にとまったまま、嘴に加えていた手紙を落として直ぐに飛び去って行った。餌も水もあげてないけど、大丈夫かな。
そう思う反面、意識はとっくに手紙に向いている。

触り心地のいい白い封筒。
「似合わないなぁ」
丁寧に封を切ると、中には一回りも小さいメモ用紙が入っていた。
添えられた文字はたったの一行。

“今夜迎えに行く。最後の晩餐を楽しむがいい”

吠えメールでもないのに彼の声が鮮明に蘇る。その不吉すぎる文面にすら胸を昂ぶらせるあたり、私もやはり待っていたのかも知れない。

「よし。そうとなったらやる事は一つだ」
top