誰にも見つからないところ、なんてちょっと卑猥なお誘いに聞こえただろ?ブッブー!残念無念まったらいねーん!僕がリリー以外にそんな破廉恥な事言うわけないじゃないか。今から僕がなまえを連れて行くのはもっと別の場所。――それは、そう!

「クディッチ競技場!!」

「卑猥とか欠片も思ってなかったからね」
「え、アレ声に出てた?」
「途中何度杖で突き殺そうかと思っちゃったよ!」
「そ、そんなにイラつくなよ!」

でも成程、この時間なら確かに人気も無いし、誰にも見つからなそうではあるな。
と私も納得しかけたところで、ふと午前の事に思い至る。

「そういえばジェームズ、グリフィンドール優勝おめでとう」
「ありがとう。君も、1クヌート失ったんだってね。お気の毒に…」
「いやまじでごめんね!?わざとじゃないから」
「わざとだったらそれこそ杖で刺し殺すよ」
「こ、怖いな…」

ジェームズはぶすっと唇を尖らせた。


「いや、ホグワーツの試合でもプチギャンブルが行われていると聞いていてもたってもいられず…」
「手持ちが少なかったから良かったけど、大金だったら大損だよ?分かってる?」
「うーんそんなに怒らんといてー。反省してるんだから」
「まったく……」
「でも、ジェームズが凄いのは分かったよ。前回は寝坊して見られなかったからあれだけど…本当に良いシーカーだった!」


試合を思い出しながら告げれば、ジェームズの機嫌は多少直ったようだ。
スプリムを応援しつつも、ジェームズの確固たる才能を感じて私は(意外と)早々に1クヌートを諦めていたのである。諸君は知らんだろうが。


「次は、僕の勝利に賭けてくれよ」

次の試合はいつだろう。私まだここにいるかな。
(って、最近こんなことばっかり考えてるなあ……虫の知らせ、ってやつかしら)

ほんの僅かに間をおいて頷けば、ジェームズも「なら許す」と今回の失態を水に流してくれた。



到着した競技場では、先に待っていたシリウス達と合流して、何故か花火をやった。(バレてはいけないから、もちろん小さいやつ)

「誰が持ってたの?こんなの」
「リーマスが去年の使い残しをまだ持ってたんだ」
「ああ…だからちょくちょくしけってるのね」
「数少ないけど、いいだろ?冬に花火ってなんか特別なカンジで」
「……ん、確かに。」

ぱちぱち、パチチ


「きれいだなぁ」


最後は五人で線香花火をやろうと思ったけど、残念ながらしけってて一本にしか火が点らなかった。

「しっかり、ピーター」
「君は僕ら四人の命を背負ってるんだからな」
「え、…」
「重いこと言うなって、ジェームズ」
「そうそう。やー、でも綺麗だねほんと。背徳感も相まって青春ってカンジが、――――あ。」
「…なまえがサムいこと言うから落ちたじゃないか」
「私の所為かよ!マフラー燃やすぞ」
「ダメだよ!」
「じゃあ天パ!」
「だめだよ!!?」
「キリもいいし戻って寝ようぜー、なまえ。帰りは俺が送るから」
「パットフッド、だめだよ。僕に譲って」
「(何これ…今更逆ハー展開とかこれっぽっちも期待してないからね。もういっそ怪しむくらいだからね)」

「あ?何でだよリーマス」
「なまえと話がしたいんだ」
「ごめんなさい」
あ、勢いで謝っちゃった。

でも何だろ……
最近はリーマスのお菓子には絶対手を出してないはずだけど。
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