「さあ、始まりましたスリザリン対グリフィンドール炎の決戦です!!!」

解説のあり得ないテンションと共に朝っぱらから始まったクディッチの試合。

「いけえ、ジェームズ!」
「やったれィ!」
「頑張れ、シーカーッ」
グリフィンドール応援席からはシーカーのジェームズを応援する声が聞こえる。ジェームスはにこやかに手を振ってそれに応え、俺達の居る場所へすいーと飛んできた。

「なまえの姿が見えないんだけど、まさかまた寝坊?」
「いや、ちゃんと来てるぜ」
「でも、なら一体どこに」
「ホラ、彼女なら」
リーマスが指差した先は、スリザリン側の応援席。

「いっけ、スプリム〜ッ!」

沢山のスリザリン生のど真ん中で敵のシーカーを応援しているなまえの姿にジェームズはため息をついた。
ネクタイやマフラーの色に気を使う気はさらさら無いらしい彼女は、当然周りから浮まくっている。



「―――そう。で、彼女は何で敵を応援してるんだい?」
「アイツお前に賭けたらしいぜ。」
「賭けたって一体いくら…」
「ああ、1クヌート位じゃねえの?」
「安ッ!!しかもだったら尚更僕を応援すべきなんじゃ…」

「ああ、賭けたんだ。お前が負ける方に1クヌート…」
「で、でもわざとって訳じゃ無さそうだったよ!」
「間違えたって嘆いてたしね…」
「はあ……本当に馬鹿だ。なまえ」

口もとに微妙な笑みを残したまま、ジェームスはチームの元へ戻っていった。



**

「頑張れスリザリィン!」
「で、お前はまた何故ここに居るのだ」
「間違えたんだよ」

ああああ。あたしコレでもジェームズの腕は高く買ってんのよ。だから、1クヌートも賭けたのに…まさか、間違えるなんて!こうなったら是が非でも負けて頂かなければ!
ぐっと拳に力を込めたところで、ルシウスがえらく神妙な顔つきをしている事に気が付いた。

ルシウス?と声をかけようとしたところで、彼は顔を私に向けた。

「――ハブかれてるのか?」
「仲良しですけど!!いや、突然ビックリだわ」
「もしそうならば報告をと」
「卿に!?アホか!ってもし本当にハブかれてた場合そこだけは巧妙に隠してほしいとこなんだけど」
「ではやはり、」
「違うっつーの!!おい!悲しげな目をやめろ!!」

言い争っているうちに試合終わった。
さらば、私の1クヌート。
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