「なまえ、お前って本当に謎が多い奴だよな」
「そお?」

叫びの屋敷を後にした私達は、腕一杯の荷物を抱えながらホグワーツへの道のりを辿っていた。

「ああ。普通俺達の歳じゃ姿現しなんて出来ないし」
「前から思ってたけど、なまえは一体どこで魔法を学んだんだい?」
「僕も興味があるな」
「ホグワーツに来る前にはどこにいたの?」
「き、急にグイグイ来るわね」

ホグワーツに来る前はヴォルデモート卿のお屋敷でグーダラ日々を過ごしていました、その前は異世界に住んでました。
ってアンタ、言えるわけがなかろーよ。

「ひ、秘密よひみつ!謎多き女はモテるでしょ」

納得のいかなそうな顔をしている彼らを追い越して、先にホグワーツの門をくぐる。




そうだ、
冬がもう直ぐ終わる。

ヴォルデモートさんが、いつかそのうち私を迎えに来たら、私はもう二度とこの場所へは戻ってこれないのだろうな。

「なまえ?」

私は振り向いて、驚いた顔の彼らをぎゅっと抱き締めた。
(荷物は、とりあえず全部おっこちた。)

「出会えて 本当に嬉しいよ。――ありがとう」

急になんだよ、そう言っておどけながらも背中に回った腕の確かな温かさを覚えて、私はゆっくり目を閉じた。
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