「よいか、諸君。今日から我が校に入学することになったなまえじゃ」

あれから本当に手続き無しで今この場に立っている私って只者じゃない。いや凄いのはあたいじゃなくてホグワーツとダンブルドアだ。凄すぎる。ついでにもう一つ凄いと言うならばスリザリンテーブルからこちらを凄い形相で見つめているルシウスの顔面もかなりすごい。あ、顔戻した。さてはキャラ作りしてんなあいつめ。
「あ、」
その少し手前に口が半開きでこちらを凝視するかーいらしいセブセブが見えたので手を振ってみた。やつもまた慌てて視線をはずし仏頂面を作る。お前もか!


「さて、組み分けじゃが…」

ドッキーン!心臓が跳ねる。この小汚い帽子の一言であたしの麗しい学園ライフが天国になるか地獄になるか決まるのだ。まさにバットオアアライブ!

「小汚いとは失礼なやつめ」
「あ。ごめんなさい」
「素直でよろしい!それではさっそく組み分けに入るとしよう」

組み分け帽子はウウンと唸り、難しいと呟いた。
何だこの展開はまるでハリ子ちゃんじゃないか!あの時(今から言えば未来)のハリーの気持ちが今ならよくわかる。

「スリザリンは嫌、スリザリンは嫌……」
「ほほう、スリザリンは嫌か」
「いやです!」
「ほうほう。ではグリフィンドールを希望かな?」
「イエッサ」
「そうかそうか………ふむ。では本人の意向も兼ねて

グリフィンド―――ル!!」


オオオ!と湧く歓声にほっとして、私は組み分け帽子を頭から丁寧に下ろした。去り際にダンブルドアの楽しげな瞳とかち合う。

「おぬしはずば抜けた思考と行動力を備えておる」
「え。」
「それを活かすも殺すも自由じゃが、くれぐれも身を滅ぼすようなことには使ってはならんぞ」

私はせめて景気良く返事をして、未だ拍手の鳴りやまない大広間の渦へと足を踏み入れたのだった。
生かすも殺すも、か。

ようこそ我がホグワーツへ
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