ダイアゴン横町ってもっとこう人で賑わってて神々しくて甘い匂いがしてヒョッホー!ってなるイメージだったんだけどなぁ……。おかしいぞ?こんな幽霊出そうな雰囲気漂ってたっけ?いやむしろ此処ダイアゴンじゃないよね。以前迷子ったノクターンにそっくりだもの!

「どぅあれくぁあああ!いますぇんくぁあああ!」

叫んだ瞬間、脇から飛び出してきた誰かとぶつかり尻もちを付いてしまった。


「いづづづ……これ絶対青痣できた。どーしてくれんの!」
「……そっちがぶつかってきたんだろ」
「注意散漫で………って、もしかして君、セブルス!?」

冷徹を着こなした様な仏頂面。それに少しうねりのある黒髪。間違い無い!


「どうして僕を知っているんだ」
「それは愛ゆえだよ。……嘘ウソ!迷子になってるんです助けて。ダイアゴンにいきたいの」
「僕は忙しい。見ず知らずのお前を助ける義理は無い」
「義理ならあるって!ほら。蛙チョコレート。蛙チョコ=義理と人情でしょ!?」
「勝手な公式を作るな。僕はそんなの知らない」
「(流石蛇寮…ツンデレか)」
「…ダイアゴンはこっちだ」
「(デレた!)」

軽くデレたセブルスくんの背中を追って路地をぐるぐると回ること数分。やっとこさ日のあたる場所に出ることが出来た。

「それで。どうして僕の名前を?」
「え?…あー……あ!そうそうあたしルシウスくんと知り合いだからサァ」
「ルシウス先輩の…?」
「う、うん」
「…なるほど。それなら僕を知っているのにも頷ける」
「あ!そうだセブセブ!あたし迷子に成り易いから一緒にダイアゴン周っ」

「何をしとるんだ、お前は」
「ほ、ほげー!この声は間違いない……ゴッドオブサタン!」
「俺様の翻訳魔法が切れかけているようだな、なまえよ。
急に居なくなったかと思えば、先程の本には既に落書き。卓上には遺書が置いてあるし私はてっきり」
「遺書なんて書いてないし置いてないよ!アレ置き手紙」
「字の下手さ故の悲しき誤解だ」
「憂いを含んだ表情で言わないでください!悲しくなるから!」

そこで私は、先程からあっけにとられて状況を見つめているセブルスの存在を思い出した。

「あ、卿。彼はルシウスの後輩のセブルス・スネイプくんです」
「……ホグワーツ生か」
「はい、スリザリンです」
「ほう。…中々、素質が在りそうではないか。」
「(まさかこれがきっかけで闇陣営にチョイス…!?)」
「何をぼさっとしておる。早く帰るぞ」
「えええ!私まだ家出の途中じゃん!しかもショッピング成し遂げてないヨ!」
「私の知った事か」
「ムキー!」
「またいずれな、セブルス。この馬鹿が世話になった」
「ちょ!!卿待っ、セブルスばいばい!!」


バチンと音を立てて消えたローブの男と共に消えた少女。嵐の様なひと時に、セブルスは激しい目眩を感じた。

「…何だったんだ」

またいずれ、と男の残した言葉が胸にひっかかってはいたが、今は考えるのは止そうと思った。
深呼吸をひとつして、ホグワーツに向かい歩き出す。そう…この頃僕は気付いてすらいなかったのだ。

ダイアゴン旅行記2
やがて再会することになるこの時の少女が、僕達を巻き込む大波乱を起こすなんて、全く。
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