私はとりあえず、屋上に座り込んで現状確認を始めた。
「とりあえず持ち物から確認して……説明がめんどくさそうなのは隠し持つことにしよう。うん」

まず杖。
これは一応常備しとかなきゃあかんやつ。

鞄をひっくり返す。
蛙チョコ…逃げ出す前に食べて証拠を隠滅する
携帯…充電無いけどたぶん使える
ガリオン金貨数枚…腹の足しにもならない
魔法史、薬草学、魔法薬学の教科書…腹の足しにもならない。どころか重い。
黒いノート………
「ちょ、え、なんか見たことあるノート入ってるぅ〜…」

これ確実にあれでしょ?
ヴォルデモートさんの昔の優等生だったころの日記でしょ?あいつめこんなもん滑り込ませてたんか。誓いの指輪(※ロマンス皆無)だけじゃ飽きたらず。

「………とりあえずしまっとこう」

触らぬ神に祟り無しだ。
全部を鞄にしまいこんだ私は、自分の格好が、制服は制服でもホグワーツの制服であることを思い出した。
「さすがにこれは目立つなぁ」
「制服の予備なら応接室にあるよ」
「え、ほんと?ならそれ拝借して……………、ただいま帰りました雲雀恭弥様。神様仏様。お願いですからトンファーお納め下さいすんません」

首元に突きつけられたトンファーと、静けさをたたえた不機嫌きわまりない声に、振り返ることなくその主を当てた私は読んで字のごとく震え上がった。

「おかえり。わけを聞くまえにまず咬み殺すから」
「せめて咬み殺す前にわけを話させてぇぇ…!」
「学校はアクセサリー禁止だよ」
私の指に触れた恭也はおもむろに口を閉じた。
「……」
私の指の蛇を撫で、手首に触れた恭弥が顔を上げた時、私は正直死んだと思った。

「咬み殺して、わけを聞いたら、もう一度咬み殺す必要がありそうだ」
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