可能性の話をする。可能性の話だ。もし仮に、こいつが俺にホニャララを抱いていたとして、それがこの船に必要あるかないかを見極めなければいけない。だがそれより前に、俺はこいつのホニャララが本物だとまず確信する必要がある。


「キッドまだー?肩もみするっていってかれこれ5分くらい硬直してるんだけど、何これ?保温?保温してるの?」

「テメェは黙ってろ!これは.....気を溜めてるところだ」

「え。嘘だよね?今からするの肩もみでしょ?ほんとに骨砕こうとしてる?.......ねえ!何で無視なの!!」

今のところこいつに照れたような様子は見られない。普通好きな男に触られたら少しくらい赤くなるはずだ。こいつは今なんならちょっと青い。

「行くぞ」

「お願い痛くしないでマジで!おね、.......アッ」

首と頭の付け根を揉みほぐす。
細い首だ。ひと捻りで殺せそうだと思いながら、少しずつ押す箇所を下げていく。

「あ、っん.....キッ、」

こいつの言う通り肩は大して凝っていないようだ。

「ひうっ、や...うん」

テーブルに手をついて必死に腕を突っぱねている。くすぐったいのだろうか。試しに首筋を爪でカリッと引っかけば、「んんっ」と声を上げて肩をはね上げた。っつーか。


「テメェ妙な声出すんじゃねェよ!!」

「だっ、だってキッド、くすぐったくて。ひひ」

「オラ、これで終いだ。何が嬉しくて凝ってもいねェ雑用の肩もみしなきゃならねェんだ糞が」

「えー!200パーセントキッドが言い出したことなのに!?」

「俺はキラーとログについて打ち合わせしてくる。お前はとっとと部屋に戻ってろ」

ガチャ
バタン.....


「.......」

(あれ、頭何で壁に向かって直立を)
(鎮めてるんだろ。そっとしておいてやれ)
(ん?キラー、なんか知ってんのか?)
(いや、さっき偶然通りかかってな。.....あれは仕方なかった)
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