終わりかけの夏は、静かに、新しい出会いを残していった。それは奇跡のような、魔法のような、運命のような出会い。 「また来てしまったのね」 「すいません」 「謝らないで。わたし、嬉しいの――――でも、もう私に近付いてはだめ」 彼女は病を患っていた。 彼女は、我が身に刻々と迫る死の影を受け入れていた。そしてその時はもう、すぐ傍まできているようだ。 「私と共に……海を渡りませんか」 「できないわ」 「この島を出れば優秀な医者がたくさんいる。貴女の病を治してくれる医者だってきっと」 「治せないの。―――聞いて、私の病気はドクターには治せない。 呪いなの 私を殺す為だけに創られた、残酷な呪い」 「では、私が貴女を呪った者を殺せば、貴女の呪いは解けますか」 口にしてはいけないことと、そう分かって口にした。彼女は悲しそうに首を振った。それは否定ではなく、私の言動を咎めるものに違いなかった。ではどうすればいい。彼女を死なせない為には、どうすれば、 「Do not forget me.」 「え…?」 「それだけで、私は報われるわ」 「、待っ」 さようなら、 心優しいわたしの友人 「キッド」 分かったよ、宝物の隠し場所も、宝石で出来た花の意味も、それに死神の正体も。ねえ、キッド、 「早く見つけて」 ← top → ×
|