あれから一週間経った。

ソフトクリームの村長さんに早く出て行ってくれと本気の催促が来た(らしい)ころ、私達はようやく有力な情報を掴むことができたようだ。この一週間のうちに、例の海賊団が何度か襲って来たりしてキラーもドレッド達も中々忙しい毎日をおくっていたみたい。
キッドは待ちくたびれて町中をぶっ壊して回るちょっと手前だったっぽいと聞いた。


「―――うん。なぜ全部他人事なのかって?」

「…」

「答えはSO!風邪をひいて発熱したせいでこの一週間私は殆ど船の中の医務室で待機させられてたからだよ!!」

「自業自得だろうが。」

「キッドは全然お見舞い来てくれないし!!」

「バカだな、ナマエちゃん。頭はアンタが寝てる時にいつもボグォアッ」

「風邪ひくような軟弱クルーを見舞ってる暇なんてねェよ」

「何ようなによう……風邪ひいた時ってひと肌恋しくなるんだから。」

「カラスいんだろ」

「人肌って言ってるじゃん!クロ子が来たらそれもう鳥肌、っつーかクロ子すら来てくれなかったんだった!!うおーんっ」

「ナマエ。みっともないから店内で泣くな」

冷たい言葉を投げつけつつも私の涙をハンカチで拭いてくれるキラー。優しいのはあんただけだよ。
久しぶりの上陸(船はずっと島についてたけど)を果たした私は、こんなことだけですぐに復活することができた。


情報収集に行っていた最後の一人が集合場所の酒場に入ってきたところで、ようやく会議が始まる。といっても情報交換だ。

「俺の聞いた話によると、島の西側に宝の隠された洞窟があるとか」

「ワイは宝は巨大な果実だって聞きましたぜ!」

「いや、市長の息子はこの島のハニートーストの原料となる、黄金の蜂蜜だとか言ってたが」

「お前ら噂の出所は探ったんだろうな。―――キッド、確かな筋の情報だが、この島にはやはり情報屋が潜り込んでいるらしい」

「俺も調べてる時そいつの名を聞きましたよ。確か、キッドの頭と同じサウスブルーの出身の」

「"背徳のジミール"とかなんとか……」

「ここら一体じゃ腕利きの情報屋らしくて、あらかたの事は奴に聞けばわかるとか」

ほう、と唸るキッド。
その脇でむぅ、と唸る私。じみーる?

「で、そいつの居場所は特定できたんだろうな」

「いや……それが、この島にいる、という事実しか。なんせ顔も素姓も明かさない謎の男だ」

「私会ったかも」

「そんな幽霊みたいな男の情報が入った理由は分からねぇが。当たってみる価値はあるんだろうな」

「ヒゲのおじさんだった。うん、甘党の」

「成程な、甘党だってんならこの島にいるのも頷けるぜ。よし、テメェ等!ヒゲ面の甘党の男を全力で炙り出す」

「おう!!!!」

「そいつを探して何としても情報を―――――――、おい、ナマエ」

「おん?」

「………てめぇ、今なんて言った?」

「おん。へぶっ」

「バカ野郎その前だ」

「(いってーくそ)ヒゲ面のおじさんだった。甘党の」

「………会ったのか?」

「うんあったよ。スイーツパラダイスおごってもらった」

「……」

「うまかったなー」
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