若い僧と死神



「それにしたって、例の僧もかなりバカチンだな。」

キッドが居る酒場への帰り道。途中に寄り道をした先にあった気持ちの良さそうな草むらに寝転びながら、私はさっきの話を思い返していた。


山の奥のお花畑でじっとしてるだけの、聞く限りめちゃくちゃ弱そうな死神に魂食べられちゃうなんて。(そんだけ死神かわいかったのかな。)
どっちにしたって、恋することが心を奪われることで、つまり魂を奪われることになるなんて不思議な話だ。


「ナマエ、テメェこんなとこにッ」

「わ…!キッドか」

「………どうした?」

何かあったか、だって。もしかして私、そんな事を悟られるような顔をしていたのかな。

「ちょっと見ねぇ間に太っ」

「おぱぐの!襲え!」

大量のコオロギに襲撃されるキッドを残して来た道を辿る。まじあいつデリカシーどこやった!!―――追いかけてきたキッドにボカッと殴られてちょっと喧嘩した。くそ。


「で、どこに居やがった」
キッドは大変苛々しているようだ。知ったこっちゃないけどね!

「お散歩してたの。キッドが破廉恥なこと言うから」

「あれくらいで何が破廉恥だバァカ。テメェいつか犯すからな」

「やばんじん!!」

「うるせェ!俺はどこに行ってたか聞いたんだ、とっとと答えやがれ!!」

「怒鳴んないでよ短気だなー、もー、いっててててメリメリ言ってるから頭!いう!言いますごめんなさい!」

「チッ、初めからそうしとけ」

「………スイーツパラダイス」

「…」

(え、じゃあ何、キッドずっと私のこと探してたの?なんで?あとタンコブが痛いです)
(制裁を与える為だ)

途中から本気で心配してた、とは絶対言わない。認めないキッド。
top
×