異世界の超人達


「もーうううう!!」

何がどうなっているのかさっぱりだ!

飛び込んだ街を駆け回りながら私は一生懸命、思考錯誤した。でも状況は依然として変わらない。
どれだけあたりを見回してみても漆黒のローブをに身を包んだ人はいないし、梟も黒猫も蛙もクルックシャンクスもいない!

―――何より、魔法の気配が全くしないのだ。
「どういうことー!」
足を止めた私は、只ひたすらに途方に暮れたのであった。お先真っ暗、なんて言葉は今使うのがふさわしい。





もうかれこれ歩きまわる事1時間弱。疲労に苛まれながら私は察した。(ああ…なるほどね)
ここ、あたしの知らない世界だ。

「淡々と言ってみたけども」

正直これってかなりヤバめ。どんな逆境も乗り越えてきたナマエちゃんと言えど、さすがにピンチ。
そしてこのピンチ感を倍増させるような出来事が二つ。ひとつは、
「…魔法が使えない」
正確に言えば、一つしか使えない。言わずもがなさっき大活躍してくれた「木よ動け」だ。何でやねん。問い質したい。何でやねん!何でよりによってあんま使い道なさそうな呪文……。
煙突はあってもフルーパウダーがない。姿くらましはしようにも成功しない。私、ホグワーツに戻れなそうなんですけど。

そして今現在最も頭を悩まされているのが、空腹。

「ああー…お腹減ったぁあぁ」

腹が減っては戦はできぬ、どころの話じゃないぞコレは。満足に歩行する事もままならないよ。フラフラだよ。この年にして行き倒れとか…そ、そんなバナナ!
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