「ごめんなさい。」

本日二度目の謝罪だ。――というのも、私がレダクトした椅子は、ものの見事にぶっ壊れた。多分、キッドが思った以上に。

「…破壊神とでも呼んでやろうか。アァ?」

「だから、ごめんなさい。」

「誰が鏡や窓までブチ破れっつった!?ゴラァ!」

「だ、っだから、私もまさかこんな二次災害が潜んでいようとは!」

私の呪文が当たった椅子は、中心からバキリと折れるだけでは飽きたらず脚は四方に吹っ飛び背もたれは壁に突き刺さった。(キッドが反射的に避けなければ、きっと彼の向う脛は今頃血まみれで、私の命も危ぶまれていた事だろう。うん。コエエ)
鏡や窓ガラスの破片が辺りに散らばり、騒ぎを聞きつけてキラーや他のクルーもすっ飛んできた。


「頭!!ナマエちゃん!」「一体どんな過激なプレイを!?」
何の話だ。


「キッド、何事だ…!」

「後で話す。―――とにかく、これだけの犠牲を払った甲斐はあるな」

「え?」

「まだ分かんねェのか?」

キッドは私に近付くと服の裾をめくった。「あ!」さっきまで3つだったハートが、1つ減っているではないか!


「このマークはお前の魔力のゲージだ。今の魔法で、1つ減った」

「……おぉ」

まさかこんなオマケが付いてるなんて思わなかった。(ダンブルドア先生も言ってくれたらよかったのに…。)というか、あれだけの情報量でソレを悟れたキッドって、もしかして意外に頭いいんじゃないのかな。


「それじゃあ、あと2つは魔法使えるってこと?」

「多分な」

それならば、と私は杖を構え、まずは割れた窓ガラスに向けた。



「レパロ(治れ)」

チャリチャリ音を立ててガラスが元のように戻り始めたところで、鏡と、机、床と壁、椅子(の残骸)に向かって修復魔法をかける。3分もすればキッドの部屋は元通り、もしくはそれ以上に綺麗に片付いた。おおー!と湧く歓声に私も鼻高々である。
私はさっき同様おへそに視線をやった。


「あれ…?」

「どうした」

「…何かハート半分しか残ってない」
残すところハート1つと思っていたが、そこにあったのは縦半分のみ残ったハートであった。

「もしかして、使う魔力の量によって変わってきちゃうのかな」

「違いない…。壊すよりも直す方が難しいのは、納得のいく話だ」

「……キラー今の無駄にかっこいい。」


ということで、私のおへその上には魔力のゲージがピンクのハートで現れる事が判明した。ためしにもう一つ魔法を試したけれど、今度は魔力不足で不発。まだまだ先は長そうである。

(そうだ!次魔力溜まったらお水を無限に出す魔法覚えよ!そしたらお風呂入り放題…ぐへへ)
(アイツ何笑ってんだ。…気味悪ィ)
top
×