「…ん?」

私は気付いた。(あれ、どこに向かえばいいんだろう。)両手にどっさりある荷物を一旦下ろして、キッドの手紙を開く。『元気にしとるかね?ナマエ。突然の』あ、間違えた、これダンブルドア先生からのだ。空中で喋り出した手紙をくしゃっと掴んでバックに突っ込み、別の方を取り出す。通行人のおじさんに目をひん剥かれたけど気にしなーい。
ふむふむ、うーん、やっぱり書いてないな。
キッドめ肝心なところ書き忘れるとかおっちょこちょいか!あの顔でおっちょこちょいとかウケる!

「よォ嬢ちゃん」

「ギャー――!!ごめんなさい!!」

「え!?何が!!?」

「え?」

恐る恐る振り返れば、そこにいたのはキッド、ではなく数人の柄の悪い男達。なんだビビらせやがって、タイミング的に9割くらいの確率でキッドかと思ったわ。つーか誰だこいつら。

「誰だこいつらって顔してるな」

「テ、テレパシー!」

「顔に出てんだよテメェ!」
「やっぱカンに触るガキだ、殺してやろうか!」
「駄目だ頭に殺される」

「あのー、私ノンノばあちゃんに知らない人とはしゃべっちゃだめって言われてるんで。それじゃあ」

「待てコラァ!知らない人じゃねェって言ってんだろ!」
「クルーだよ俺達は!」

「クルー?…キッドのとこの?」
私の問いかけへの返答はYES。あ、なるほどね、言われてみれば見た事あるようなないような気がしてきた。っていうか改めて思うけどガラ悪いね!地元の不良にもこんないかつくいのいなかったよ。しかも、え?何ですかそれツノ?猫耳的なアレかな。うーん…人様の趣味に口ツッコむのってあんまよくないよね。よし、放置。

「あ、こんにちは」

「「「遅ェよ!」」」

「い…良いツッコミ」

「今の間なんだ!?」

「テメェ小娘!絶対失礼な事考えてただろ!」

「や、そんなん全然考えてませんよ!何か服スケスケで色気割増狙ってんのかなウケるー!とかそんなことまったく考えてな」
「結構考えてんじゃねェか!」

「あ、い、いっちゃった。誘導尋問だこれは!」

「おいこいつすごいバカっぽそうだぞ…。頭本気でクルーにする気か?」

「あんたも結構失礼だ!なんだバカっぽそうって!鼻毛出てるくせに」

「コレ口髭!どんだけ鼻毛爆発させてると思ってたんだよテメェ今まで!」

「あ、それより私今度からキッドの船に乗ります。ナマエです。宜しくお願いします!」

「「「今かよ!」」」

私はやる事がなかったから、クルーの人達と一緒に船に向かった。
キッドの船のクルーは、ガラと口と人相と手癖足癖が悪く、服のセンスが微妙で、船長の事が大好きな、わりかし優しい集団だった。
top
×