「ドフラミンゴ、その辺にしといてやんな」

「よォ。おつるさんじゃねェか。」

どうやらドフラミンゴと知り合いらしい。

「今俺はこの子とお楽しみの真っ最中なんだぜ?邪魔しないでくれよ」

「楽しんでんのはアンタだけに見えるけどねぇ」

つるの言う通り、必死で離れようと試みるナマエはそれでも自由の利かない体をどうしていいか分からず半泣きになり、ついでに異性にこれほど長いこと抱きついた経験もない為恥ずかしさからか茹でダコのように赤くなり、見ている側からするとあまりに可哀想すぎた。






「ほうら、怖かっただろう。うちの悪ガキが悪かったねぇ」

「うっうわあああん!おばあちゃあんん!!」

「オイオイこれじゃあ俺がまるきり悪役じゃねェか?」

「アンタが悪いよ」

「フフフフッ、モテる男はつれェな」

「何それ!」

聞く話によるとふわドフラミンゴは、キッド達と同じように悪魔の実の能力者らしく人を操る力があるんだとか。わたしが離れられなかったのもその所為かと気付いた時には、あんなに羞恥に打ちひしがれたことが悔しく思えた。つまり悪いのは全てドフラミンゴなのだ。

「おつるさん、今日はどうもありがとう!おまんじゅうも貰っちゃって…」

「いいんだよ。お詫びみたいなもんだからね」

「また会ったら抱きついてこいよ?ナマエ」

「ドフラミンゴ死ね」

「フフフフッ、次はハグだけじゃ済まさないぜ」

「(シカト)おつるさん…あの、寂しくなったら、会いに行っても…」

「もちろんだよ。いつでもおいで」

「やったあああ!!」

高揚した気持ちのままおつるさんに抱きついて、ちょっとだけ出た涙を拭った。(おつるさんは、わたしが大好きな"ノンノおばあちゃん"に良く似てるのだ。)また会えると思ったら、本当に嬉しくなった。

「それじゃあわたし帰ります!さよなら、おつるさん!………ドフラも」

「気をつけて帰るんだよ。ナマエ」

「フッフフ…!やっぱり可愛いじゃねェかよ、今度攫ってくっかな」

二人に手を振ってから背を向けた。物騒な言葉は聞こえなかったことにした。腕に持つ沢山の荷物は重たかったけど、そんなこと全然吹き飛ばしちゃうくらいに嬉しいことがあったから気にならなかった。
現時点において海軍大将ひとり、海軍幹部ひとり、王下七武海ひとりと顔を合わせていることに彼女は全く気付いてはいなかったのであった。

(やっぱキッドってのは、あのルーキーか?)
(フッフフフ…先を越されたな)
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