「三成、聞いてくれ!面白い話を聞いたんだ!」


「何故私が貴様の話など…」


「いいからいいから!!」




***




「『もしもし、わしメリーさん。今…貴方の後ろ!!』…そう言ってその男は…」


「…」


「…それからその男の行方を知るものは誰もいませんでした。おしまい」


「…家康、」


「なっ、面白いだろ!」


「…そっ、そ、そのような話の為に私の時間を無駄にするなっ!貴様、斬滅してやる!!」


「そんなに怖かったのか?」


「誰がそんな事を言った!私は怖いものなど…!!」


「ははは。三成は怒りっぽいなあ」




本気で斬りかかられる前に仕事に戻ろうと、家康が襖に手をかける。
――と。




「…三成?どうしたんだ、いきなり手なんか握って……いたっ、痛いぞ!!」


「……………い」


「え?」


「…ひ、暇だから、貴様を手伝ってやっても、いい」


「…」


「べっ、別にめりいさんが怖いわけじゃない!!めりいさんが来るかもしれないから独りがやだとか、そんなんじゃないからな!」


「…三成」






怖い話


(ああ、なんだ)
(やっぱり三成は可愛い)