突然ですが、うちの兄ちゃんはいちいち五月蝿いです。
「名前、何処にでも雑誌を置くな。邪魔なのだよ。」
「後でちゃんと片付けるもん。ちょっと待ってよ。」
「そう言っていつも放置するだろう。それに宿題は終わったのか?夕飯を終えてからずっとテレビを見ているが。」
「これ見終わったらやるのっ!!」
「また、お前は面倒に感じたことをなんでもそうやって後回しにする。だからいつまでたっても駄目なのだよ。」
「はぁ?あたしはあたしでそれなりに計画立てて動いてるもんっ!」
「後、テレビの音量はもっと下げろ。夜は響くし迷惑なのだよ。」
「そこまでおっきくないし!!てゆうか!!気になるならお兄ちゃんが自分でボリューム下げればいいじゃんかっ!!そこにリモコンあるんだしっ!!」
「お前のほうがリモコンに近いのだよ。」
……。あーもうっ!!めんどくさいっ!!
そういう問題じゃないじゃん!!もうやだコイツ!!
うちの兄ちゃんはこの調子で何かとあたしにごちゃごちゃ言ってきます。
もう毎日毎日うっとうしくてしよーがない。
お兄ちゃんのことチラッと見たことある友達からは、「名前のお兄ちゃん、素敵だよねー羨ましい!!」とか言われたりするけど、それはほんと中身知らないからそう言うことが言えるに決まってる。
確かにうちの兄ちゃん見た目は良い。頭、緑だけど。
でも中身は超めんどくさいっていゆうか…色々おかしい。
ラッキーアイテムとか言って信楽のタヌキとかぬいぐるみとか平然と持ち歩くし、語尾の「なのだよ」とか意味不明だし、登下校のとき自分が乗ってるリヤカーを自転車で友達に引いてもらってるし。
そして何よりあたしにとって問題なのは、兄ちゃんがいちいち偉そうで小言が多いことだ。
今だってそう。
他人なんかどーでもいいとかいう雰囲気醸し出してる割りには、あたしの行動無駄によく見てて、ケチつけるとこ見つけてはちょいちょい口出ししてくる。
「…お兄ちゃん小姑みたい。めんどくさい。」
「何処がだ。俺はただお前がこれ以上堕落した駄目人間にならないように人事を尽くして注意してやってるだけなのだよ。」
「そんなんだから友達居ないんだよ、ぼっち!!」
「生憎俺にはきちんと友人もいるし更に下僕もいる。お前は下らんことを言ってないで早く片付けて宿題しろ馬鹿め。」
ハッと鼻で笑うお兄ちゃんにまたイラッとするし。
あたし、コイツのこういうとこが嫌なんだよ!!
確かに間違ったこと言ってるわけじゃないんだけどなーんか言い方がイヤミったらしいってゆうか!!
「バカっていうほうがバカなんだよ!!」
「その在り来たりな切り返しもお前の頭が軽い証拠なのだよ。」
ほんとになんとかなんないのかなこの感じの悪さ!!本気ではったおしてやりたい。
でも、そんな願望を抱きながら、これ以上お兄ちゃんにつっかかって得することなんて何一つないってことも重々承知だ。
喧嘩になったらお母さんに怒られるし、不本意だけど口喧嘩で兄ちゃんに勝てるわけないし。
…ここは堪えよう。あたしが大人になればいいんだ。うん。
「おい、何処行くのだよ。」
黙って雑誌を持って、リビングを出ようとしたらお兄ちゃんにちょっと睨まれた。
ちょっと、睨まれる筋合いはないんだけど。
「部屋戻るのっ。これも片付けなきゃいけないし!」
「ならついでにこれも持っていくのだよ。」
「なにこれ。」
「くまこちゃんだ。」
「………。」
お兄ちゃんがあたしに押し付けてきたのは、ぬいぐるみ。敢えて名前つけてることはつっこまない。
…けども。何処で手に入れたんだろう、こんなの。
フリルのワンピースを着て耳にはリボンをつけたテディベア…。190越えのイカつい男子がこんなの持ってるとか…シュール過ぎる。
単にガン見したら、何を勘違いしたのか兄ちゃんに超ドヤ顔で「どうだ可愛いだろう。」とか言われた。
いやまあ、うん、人形は可愛いちゃ可愛いけども
「…ドン引きだし。」
「なっ、なんだと!?」
「だってお兄ちゃんみたいなデカイのがそんなブリブリの人形持ってるとか全然似合わないもんっ!!気持ち悪い!!」
「失礼な!!だいたいこれは俺が持つわけじゃなくお前が持つのだよ!!」
「はぁ?!なんでっ!!」
「おは朝占いで、お前の明日のラッキーアイテムはテディベアだったのだよ。だから名前、明日は肌身離さずこれを持っておけ。」
「げっ、またおは朝占い?!あたし、信じてないし!!あんなのただのお遊びでしょっ。」
「馬鹿にするな。おは朝占いは本当によく当たるのだよ。それはもう嫌になるほどにな。」
「そんな風に思ってんのお兄ちゃんだけだよ!!それに明日学校だし!!ぬいぐるみなんか持ってけるわけないじゃん!!」
「フン、持ち運びしやすいよう小さめサイズだ。なんの問題もない。」
「だーかーらっ!!こんなの持ってるの自体恥ずかしいのよバカ!!」
「馬鹿に馬鹿と言われる筋合いはない。少なくとも俺はお前より馬鹿ではない。とにかく持っていくのだよ!」
「やだって言ってんじゃん!!」
「持っていけ!!」
「ぜっったいに、やだっ!!」
てゆうかしつこい!!
お兄ちゃんがおは朝占いの信者だってことは知ってる。まあそれは個人の自由だし良いよ。でも、あたしにラッキーアイテム押し付けてくる意味がマジわかんない。いつもはそんなこと言ってこないくせに!!
本当に理解できなくて、うっとーしい。 しかも、なんか溜め息つかれた。腹立って、睨んでやったらお兄ちゃんはまた溜め息ついて、呆れたように喋り出した。
「ここ最近、お前は俺に良いことが無いとか、ついてないということばかり言うだろう。」
「…。まぁ、言ったけど…」
「そんな愚痴を垂れたところで、運勢は変わらん。それなら運勢を補正するためにお前は人事を尽くすべきなのだよ。…そして、このラッキーアイテムは必ず運勢を補正する。お前はこれを持てば人事を尽くせる。…だから持っていけ。」
そして、「そうすればきっと、明日からは大丈夫なのだよ。」なんて、ボソッと呟いてリビングを出ていった。
…………。なんなのよ、もう。
あたしのお兄ちゃんは本当意味わかんない。小言ウザいし偉そうだし、いちいち腹立つ。
…でも。どうも嫌いになりきれないのはきっと
、お兄ちゃんなりにあたしのこと考えてくれたりするから。
「まあなんか、ズレてるんだけど。」
それでも、明日からはなんとなくツイてるような気がしてきたのは、今あたしが持ってる子供っぽいぬいぐるみのおかげな気がする。
―
最近ついてないな…とか、上手くいかない…なんてマイナス思考に陥ってしまってるお嬢様への応援夢だったり。
誰でも上手くいかないときってあるもんですが…その状態はいつまでも続かないし、ポジティブに前へ進むことを考えるって、大切なのかな…って最近思い出したので。
とりあえず真ちゃんは小言多くてウザがられながらも、なんだかんだて妹ちゃんに好かれてればいーなぁ…なーんて。
ブランクが感じられますが…まあリハビリということでごめんなさい←←
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