memo simple is the best! ::教師と生徒 ※ ※性表現アリ 桜が咲きだし、灯油缶がしまわれる。 春なんてクソくらえ。新入生に、クラス替え、学校の宿題、教科書配布、新社会人に、後輩、先輩、新生活……。新しいものを手にし、新しいものに浮き足立つ世間様がどうしてだか憎かった。 春風に浮き足だった明朗な声が、心をざわつかせる。 目の端をちらつく赤いランドセルに胃の辺りがムカムカする。 様々な『新しい』を手にした人間が集まるこの朝の電車が煩わしい。 先割れした爪を弄りつつ、ドアに寄りかかって流れていく風景をただぼんやり見つめる。甲高い声から気を逸らすようにして。 あと、一駅。あれさえ、あれさえ乗ってこれば。 この車両に蔓延した吐瀉物臭が小マシになる。汚いものは汚いものをもって制すのだ。 遠く、寒気立った空気に溶け込む風景に目を向け、ただただ祈る。 長い、長い時間が流れたような気がした。 反対側のドアが開いて、客が流れ込む。 火炎放射機で焼き殺したくなるほどの多人数にむせ替えった。混ざる人の悪臭が吐き気を誘う。動物園の獣臭さの方がよっぽどマシだ。 右腕に当たる汗ばんだ肉が気色悪い。制汗剤ぐらい使えよ。臭いわ。キモい。死んで。吐く。舌打ちをして、じろりと目を上げるが、そっぽを向いていてこちらを意識しているのか意識してないかも分からない。 爪を手に食い込ませて、気休めを図る。 くそ。あれは?あれ。あれ、あれ、あれ、あれ。 「すいません」と、か細い声が、乗客を掻き分け、近づいてくる。「すいません」。それは、もう目の前だった。肉と生地の合間から顔を出したそれを見て、私はようやく本日一番の肉声を発した。 「おはようございます、センセ」 学園まで乗り換え五回。乗り換え一回目の、学園から遠く離れたこんなマイナー線、私以外使ってる奴なんかいねえよと思っていたが、一年次の副担、つまりセンセがなんと同線だった。 6月中ごろ、私がいつもと違う車両に駆け込んだ際に、バッタリ、同線だというのが発覚。 今では一緒に、生徒がちらほら乗り込んでくる乗り換え三回目までを共にする仲だ。 センセは走ってきたのか汗びっしょりで、私の腕に肉を押し付けている肉塊よりも匂いを発していた。 汗くっさ。じろりとセンセを睨み付けるポーズだけ取るが、内心、このゲロ臭を消してくれたセンセには歓喜していた。けれど、私のお願いを無視して、先頭に並んでいなかったのは頂けない。 挨拶だけして無言を貫く私達の頭上に降ってくる終点のアナウンス。 放送に従って、電車を降りる。 一定の距離感を持って移動するのは隣のホーム、ではなく、奥まった所にある人気の無い公衆トイレ。 まず私が女子トイレに入り込んで、誰もいないことを確認する。 まあ、此処のトイレで人と出くわしたことなど一度もないのだけれど、一応、ね。 「センセ」 少し響くくらいの声で、センセを呼べば、とろとろとした足取りでセンセが入ってくる。 センセは目を伏せていた。私はニッと笑って、爪先でステップを踏むようにセンセに近付いていく。 ガン、と鈍い音が響いた。 私がセンセの頭を掴んで、洗面台へと打ち付けた音だ。 「ッ、ぅ゛……」 「センセー、今日なんで先頭に並んでなかったの?発車ギリギリに駆け込んで来たよね?寝坊?」 頭を押さえて床に座り込むセンセの隣にしゃがみ込み、顔を覗く。 そこにはいつも通り、顔を赤らめ蒸気させるセンセがいた。 「……まあいいや。なんにせよ、お願い(命令)守れなかったんだから、お仕置きだよね?センセ。私の鞄からあれとってよ」 興奮したように息を荒げながら私の鞄を漁るセンセ。教科書の下から取り出された乗馬鞭を受け取って、手のひらで軽く鳴らす。 センセは鞭の先を目で追って、ぱしっという音が鳴る度、体をびくつかせた。 「お尻、出して」 そう言えば、センセは無言でベルトのバックルに手をかけ、ゆっくりとだがスラックスを降ろし始める。その動作と共に呼吸音が増していく。はぁーっはぁーっとセンセの息をつく音だけがうるさいくらいに響いていた。 鞭の先でセンセのお尻を撫で上げ、ほんの軽く叩く。暫しそれを繰り返したあと、トイレの壁を勢いつけて打ちつける。 それだけでセンセは飛び上がり、股の間からチョロチョロと黄色い汚水が垂れた。 春休みというブランクがあったせいか、センセはいやに興奮気味だ。「もう漏らしちゃったんですか」と嘲笑えば、センセは期待したように肛門をひくつかせる。 back ×
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