姉貴と兄貴2




「うっ、いたいよ、兄ちゃん」

「悪ぃな空丸、お兄ちゃんちょーっと加減の仕方間違えたわ」




体中かすり傷だらけの空丸

年の離れた弟なだけにある程度の手加減をしていた天火だが、やっているうちに熱くなってしまったのか気がついた時にはボロボロの空丸が目の前にいた





『空丸おいで?傷の手当てしてあげるから』


泣いている空丸に向かって優しく手を差し伸べる天華に、空丸はその手を小さい手でキュッと掴んだ




「だから手加減しろって云ったじゃねぇか、馬鹿天火」

「痛って!叩くことないだろ親父!」



ぎゃあぎゃあ騒ぐ天火と大湖をよそに、縁側では天華が空丸の傷を手際よく手当てしていく





『これで大丈夫だと思うけど、まだどこか痛いとこある?』

「いや、だいじょうぶ。ありがとう天華姉ちゃん」


お礼と一緒に向けられた空丸の笑顔に癒される天華

そんな穏やかな雰囲気の中、突如として大湖の声が響く





「天華ー、お前こいつに稽古つけてやれ」

「は!?」

『え?』

「あらあら」


突然の大湖からの言葉に驚く天火と、いまいち状況を把握しきれていない天華


大湖は縁側に腰掛けると空丸の頭をわしゃわしゃと撫でる



「空丸、お前はこれからいくらだって強くなれる。そんで天華や天火より強くなったとき、今度はお前が二人を護ってやれ。負けることは恥ずべきことじゃねぇ、むしろこれからの経験に繋がる。今はまだ、お前は護られる側の人間だと云うことを忘れるな」




おれが


姉ちゃんと兄ちゃんをまもる?




できるのか、おれに一一?







「父ちゃん、おれ…姉ちゃんと兄ちゃんをまもりたい」

「おう、頑張れよ空丸!ってことで天華、空丸の成長の為にもよろしく頼むわ!」




曇りのない大湖の笑顔と空丸の為ならばしょうがないとわりきった天華は、大湖から渡された木刀を手に天火の前に立つ




「見てろよ空丸。お前の姉ちゃんがどれだけ強いのかをな」











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