姉貴と兄貴1




「天華姉と天兄ってどっちが強いんスか?」


瞳をキラキラさせながら聞いてくる宙太郎に、空丸は至極当然のように答えた



「姉貴だろ」

「そうなんスか!?オイラ二人が稽古してるとことか見たことないッスけど空兄は見たことあるんスか!?」



グイグイ迫ってくる宙太郎に思わず後ずさる空丸


思い出すのは、まだ両親が生きていた頃に一度だけ見た天華と天火の稽古風景




「昔一度だけな。宙太郎はまだ小さかったから覚えてないと思うけど」




































12年前






「空丸!お兄ちゃんを倒す勢いでかかって来い!」

「うん!」



曇天の空の下、曇家の庭では長男による天火と次男の空丸による稽古が繰り広げられていた



「おーい天火!ちゃんと手加減してやれよー!」

「空丸頑張ってー!」


縁側では父の大湖と、まだ小さい宙太郎を抱きかかえる母の小雪が楽しそうに笑っている



そしてそんな二人の間には、彼らの姉である天華が試合の様子を微笑ましそうに見守っていた







これはまだ


曇家の家族が壊される前、


両親が生きていた頃の


とある日常の風景である











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