不安な心3
その夜、帰ってきた天火を庭先に連れ出した天華
辺りは暗く、時折吹く風が二人の髪を揺らしている
「どうしたんだよ、急に話したいことがあるだなんて」
いつもと様子が違う天華に若干戸惑いを見せる天火
そんな天火を見据えながら天華はゆっくりと口を開いた
「私と、別れて欲しいの」
二人の間を微弱な風が通り過ぎる
天火が言葉を発することが出来たのは沈黙から何秒か経った後のことだった
「本気…なのか…?」
『え…?』
天火の声、震えてる?
予想外の天火の反応に戸惑う天華はその場から動く事が出来なかった
その間にも天火はこちらにゆっくりと近づいて来る
「なぁ、答えてくれよ…本当に俺と…、別れたいのか?」
『天火っ、ちょっと待って!』
既に天華の目の前まで来ていた天火は彼女の制止の声も聞かず、その細い体を弱々しく抱きしめた
声だけじゃない
天火の体も震えてる
どうして……
「悪いとこがあるなら直す、だから…別れるなんて云うな……っ」
いつもと違う天火にこれ以上はまずいと思った天華は事情を話すことにした
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