不安な心2







『空丸君、やっぱり私じゃ駄目なんだよ』


何かあった時、いつもこうやって相談するのは天火の弟である空丸君だ

彼は私より8歳も年下なのにどこか大人びた雰囲気があり、年上の私よりもしっかりしているせいかよくこうして話を聞いてもらっている




「天華さんは何も悪くないじゃないですか!あのクソ兄貴!!一回俺がガツンと云ってやらないと!」

『ありがとう空丸君。その気持ちだけで充分だから』


そう云うと空丸君は何か考えた後、私にある提案を持ちかけてきた






『え!?でもそんなこと云って天火が本当に鵜呑みにしちゃったら…』

「大丈夫ですよ、そこは俺が保証しますから!それに、あの兄貴にはこのくらい云った方が良い薬になります」


たまには振り回されている仕返しをしても罰は当たりませんよ

それで本当に駄目なら、俺が兄貴を殴ってあげますから




不安はありながらも、勇気付けてくれる空丸君に背中を押され、私はその提案に乗っかることにした


















「はぁーー、兄貴も馬鹿だな。天華さんにあんな顔させるなんて」

天華がいなくなった後、空丸は一人大きな溜息をついていた



「自分の一番大事な人を傷つけたら駄目だろ、馬鹿兄貴」


空丸の声は誰にも聞かれることなく空気に消えていった










天華さん、大丈夫ですよ

兄貴はちゃんと、天華さんのこと大切に想ってますから








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