不安な心1
「天華ー、腹減ったから飯作ってくれ」
わたしはこの男、曇天火にいつも振り回されている
『飯って、さっきお昼ご飯いらないって云ってなかった?』
「あー、さっきはな。でも今は腹減ってんだよ」
だから何か作ってくれと、彼は悪びれた様子もなく私にそう云った
『わかった、じゃあ軽く何か作るから少し待ってて』
「おう!」
天火は気まぐれな人だ
懐いたと思ったら急に離れていく
それはまるで猫と同じ
そんな彼と付き合って1年になるが、相変わらず私は彼に振り回される毎日を送っている
天火は本当に、私のことが好きなんだろうか?
それすら疑問に思えてしまうほど、今の私は酷く落ち込んでいた
「浮かない顔してどーした?」
『わ!て、天火?』
気付くと後ろから顔を覗かせる天火がいた
「料理してる時にぼーっとしてると危ないぞ?何を考えてた?」
真剣な顔の天火
そういう顔をされると、ちゃんと私のこと見てくれてるのかなって勘違いしちゃう
『何でもないよ、ごめんね?心配させて』
そう返すと天火は溜息を吐いて私に背を向けた
「やっぱ、飯はいいわ。俺ちょっと散歩に行ってくるな」
『え!?で、でも、もう少しで出来るのに…』
「悪いな。じゃ、行ってくる」
そのまま天火は曇家を出て行った
『せっかく作ったのに…』
今日休みだから一緒に居ようって云ったの天火なのに、家に来てみればまだ寝てるし、お昼ご飯も作ってくれって云うから空丸君に台所を借りたのに結局要らないって云うし…
『何がいけないのかな…』
天火、私もう疲れたよ
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