何気ない日常2





「いやー、まさか天華が起こしに来てくれるとは思わなかった。おかげですごく寝覚めが良い!」

『そんなこと云って、本当は空丸が来た時から起きてたんでしょ?』

「さぁな」


天火はふわぁ…っと大きな欠伸をしながら目の前にいる天華を抱きしめ、肩に顔をうめる

いつも高い位置で括られている天火の髪は寝ていた為おろされており、それが天華の頬を掠めるとくすぐったそうに身を捩った





『ふふっ、天火くすぐったいよ。ほら、空丸達も待ってるし早くお昼食べに行こう?』

「んー、もうちょい待って。俺は今お前の充電で忙しいの」

まるで猫のように甘える天火に苦笑するも、幼い頃から変わらないその仕草に母性をくすぐられた天華は、少し癖のある天火の髪を指先で優しく梳いた



『変わらないなぁ、天火は。いつになったら姉離れ出来るんだろうね?』

「当分の間は無理だろうな、なんせ天華ちゃんのこと大好きですから」

『あら、嬉しいこと云ってくれるね!わたしも天火のこと大好きだよ!』

「っ!」
満面の笑みでそう云われた天火は不覚にも赤面した


その大好きが自分とは違う家族に対してのものだと天火は知っている

それでも心は天華の言葉が嬉しいと、素直に感情を表に出してくるのだ



「っ、全く…これだから鈍感は困るよな」

『?誰のこと?』



なんでもないと天火はそのことを濁した後、ようやく天華を抱きしめる腕を離した


「よし!充電も完了したし、そろそろ空丸達のとこに行くか!」

『はいはい、天火はまず寝坊してるんだからみんなに会ったら謝りなさいよ?』


そんなやりとりをしながら二人は空丸達がいる部屋へと昼食を取りに向かった


















「遅ぇよ兄貴!」

「天華姉、天兄待ってたっス」

「天華、天火に変なことされなかったか?」

上から空丸、宙太郎、白子という順にそれぞれの言葉が飛び交う中、天火は一人白子の発言に衝撃を受けていた


「白子ぅ!?お前俺を何だと思ってんの!?変なことって何!?」

「よし、じゃあ天華も来たことだし食べようか」

「え、シカト?ねぇシカトなの?おーい、白子ぅー?」

ガン無視な白子にショックを受ける天火

そんな天火に声をかけるのはいつも天華であり、空丸や白子はつくづく感心していた

私生活がだらしない天火についていけるのは天華くらいだと一一



『ほら天火、こっちに来て早くご飯食べよう?みんな食べずに待っててくれたんだし』


天華に手を引かれいつもの定位置に座らされると茶碗と箸を渡された




「天兄いつものお願いするっス!」

「これ云うの兄貴の役目なんだからな」

「お前が云ってくれないと俺達ずっとこのままなんだが?」


周りを見れば空丸も白子も先程と違い天火の合図を待ちわびている

天火はぶはっ!と笑い、一旦箸と茶碗を下に置く



「みんな、昼飯に遅れて悪かった!じゃあ、両手を合わせて…せーの」


【いただきます!】





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